アサーション活用事例 -「15分で給料150万円アップできた給料交渉のステップ」

アサーション活用事例 -「15分で給料150万円アップできた給料交渉のステップ」

 

 

前回は、アメリカ生まれの「アサーション」というコミュニケーションスキルについて、カリフォルニア州のロサンゼルスで、アサーションの講師として活躍されていらっしゃる、リカ・ビヤセニョールさんに教えていただきました。「アサーション」とは簡単に言うと、相手を尊重しながらもサラっと自分の意見を言うコミュニケーションです。アサーションについての基本知識は、前回の記事「注目のコミュニケーションスキル”アサーション”を学ぼう!」を是非ご覧ください!

 

今回は、実際にアサーションのスキルを使って給料交渉をし、成功した事例についてリカさんに教えていただきました。日本ではあまり給料を交渉するという文化は根付いていないため、躊躇する人も多いかもしれません。でも、給料交渉は働く人の権利として当然のことですね。是非、記事をご参考にされてみてください。

 


 

給料交渉をしたことがありますか?

 

皆さんは、お給料の交渉をしたことがありますか?

 

仕事の面接のとき以外で?

 

私は何回もあります(^^)/

 

フルタイムで働いていた時は、ほとんどの会社で給料の交渉をしました。

 

 

一つの会社では、15分の会話で年収を日本円で150万円上げてもらったことがあります。

 

(150万円と書きましたが、役職がかわったわけではありません。)

 

 

ただ、1年間働いてみて自分の給料が自分の仕事内容や能力に見合ってないと思ったからです。

 

そしてアポをとり、ミーティングをしていただき、給料の見直しをしてもらいました。

 

その会社は小さな会社ではありません。

 

社長とも、実を言うと面接以来ほとんど話したことがありませんでした。

 

どちらかといえば、近寄りがたく話しにくい雰囲気の社長でした。

 

しかも、その人に特別気に入られているというわけでもありませんでした。

 

どっちかというと、嫌われているのではないかとずっと思っていました。(このことに関しては後述)

 

 

でも、給料アップのお願いはアッサリと認めてもらいました。

 

「え、どうやって?」と思うかもしれません。

 

これから給料交渉の手順を説明いたします。

 

 

給料交渉をする前に重要なマインド

 

まず、給料交渉をする以前に、重要なことが3つあります。

 

1.「交渉できない。給料が上がるわけがない」と決めつけないこと。

 

給料交渉以外にもいろんなことに対して、「できない」という言葉は選択肢を狭めます。

 

私たち大人は、いろんなことに対して最初から結論を持っていてその通りに行動します。

 

 

筆者はアメリカ在住で米系企業での交渉経験を書いております。

 

アメリカだからそれができるのだろう、日本では無理だという方もいらっしゃるかもしれませんが、アメリカに住んでいたら住んでいたで、「あなたのケースだからできるのだろう(例えば自分はアメリカでも日系企業に働いているから無理だ・フレキシブルな会社ではない、など」という人が必ずいます。

 

でも、実際は、やってみないとわかりません。

 

だからとりあえずやってみましょう。

 

また、このブログの読者にはアメリカ在住の方も多いと思います。アメリカに住んでいるのなら、ぜひ、給料は交渉するものだ・して当たり前くらいに思ってもいいかも。アメリカ人の多くは、多分、そう思っています(もちろん、アメリカ人でもなかなか言い出せない、と思っている人もいると思います。私の友達のアジア系アメリカ人女性は、言えないタイプです。)同僚のアメリカ人は知らない間にどんどん給料交渉して給料があがっているかもしれません。

 

 

「そんなのできるはずがない」と言っておきながら自分で状況をなんとか変えようと思わないのであれば、実際はその状況でよいと思っているということも認識してみてください。

 

 

 

2.まずは自分が昇給してもいいと思われるような価値を提供する。

 

ただし、給料交渉するからには、それなりの仕事をしているという自信がなければなりません。

 

だから、まずは毎日の目の前にある仕事を精一杯やってください。

 

よく、自分の会社の悪口を言っている人がいます。

 

「給料が低いし、やっとれん」と。

 

 

そのような不満があるのであれば、交渉して給料あげてもらいましょう。

 

それもせず転職もせずに、不満を言うのは違う!

 

あなたは潜在意識レベルで何かメリットがあるからそこで働いているのです。

 

そこで働くという決断をしたのはあなたです。

 

 

ただ、給料がもっと欲しいというのであれば、今あるところでできるだけ自分が出せるだけの力を出して働きましょう。

 

そうすれば、自信持って交渉できますからね。

 

 

3.あなたが「交渉しない」ということで、代償があるということ。

 

交渉するのは恥ずかしい、怖い、などという考えがあるかもしれません。

 

確かに社長に給料の話をすることで関係が悪くなる可能性がなくはありません。

 

 

ですが、別の見方をしてみましょう。

 

あがった給料で何ができるでしょうか。

 

 

それが数年、10年、20年と積み重なっていくとどれくらいの金額になるでしょうか。

 

その違いで、もしかしてあなたは習い事をして何かのスキルアップできるかもしれません。

 

もっと環境の良いところに住むことができるかもしれません。

 

外国旅行に行けるかもしれません。

 

さらに、お子さんがいる場合、その違いは犠牲にできない、するべきではないことかもしれません。

 

その差額で、お子さんの行く学校が変わるかもしれません。

 

お子さんに何か習い事をさせることができるかしれません。

 

あなたが、面倒くさいから、怖いからという理由で交渉しないことで、お子さんの人生が変わるかもしれません。

 

 

私が住むアメリカ社会では、給料のみならず交渉できることがたくさんあります。

 

医療費やクレジットカードの利子など。

 

 

交渉しないことの代償は、はかり知れません。

 

でも、多くの人は交渉できるということすら知りません。

 

実は私たちには、選択肢があります。

 

 

そして、言葉を発するか発さないかだけで、人生が大きく変わることがあります。

 

ですから、交渉をするにあたって一番大切なことは、交渉すると決めることかもしれません。

 


交渉は交渉「前」から始まっている。

 

交渉では、事前の準備が重要です。

 

まずはリサーチ。

 

先に準備していると、していないよりも精神的にリラックスした状態で交渉に臨めるため、小さなことで反応や動揺しなくて済みます。

 

交渉の時に落ち着いているというのはすごく大事。

 

 

まずは、だいたいのその役職の平均給与や、その他関連事項を調べておくのは良いことです。(グーグル大先生などに聞いてみてください。アメリカで有名なのは Glassdoorというサイトです。)

 

ただし、その数字は参考程度にするだけです。

 

特に、万が一平均値が低かった場合、だからと言ってあなたの給料も低くてよいわけではありません。

 

ですが、もし平均値が自分の給料より高かった場合は、交渉につかえるかもしれないので、一応頭の隅に入れておきます。

 

 

次に、あらかじめ、どうしてあなたが給与アップに値するのか、理由を紙にリストアップしておきます。

 

とくに、Achievement (業績を書き出しておきます。

 

もしかして、あなたの上司はあなたほど、あなたが達成したことに気が付いていない、あるいは覚えていないだけかもしれません。

 

その場合は、上司にサラッとお知らせすればよいのですが、先にリストアップしておけば、慌てなくてすみますね。

 

 


 

交渉ステップバイステップ

 

1.まず今の状況、事実、結論を述べる。

 

例文:

 

私は、5年前にこの会社で働き始めました。

 

その際に、AとBという仕事内容で、○○ドル(あるいは円)というお給料をいただくことになりました。

 

ですが、それ以後、仕事内容が増えて、今私はAとBの業務に加え、CとDという業務をこなしております。

 

そこで今一度、お給料の見直しをしていただきたく思っております。

 

 

念のため、英語でのガイドラインを付けておきます(海外在住の読者のため)

 

I got hired five years ago at this company as XXX (=job title) to do YYY (job description.)

 

Since then, my responsibilities have expanded and now I do….. (list things you have done that is clearly extra).

 

Therefore, I would like to respectfully request a meeting to review my salary. (→ I am wondering とか Can you などの疑問形にせず、これは働いている人の権利なので I would like to で言い切って大丈夫です。)

 

 

みたいな感じです。

 

ちなみに、主語を I (私)にすると意識して話すとバッチリです。

 

(アイステートメントと言います)

 

もし可能であれば、この際に、このお願いは自分のためだけではなく、相手にも何かメリットがあるということを伝えておきます。

 

例えば、給料が上がりあなたの責任感が上がり仕事内容を増やしてもらえば、会社としてもプラスになります。

 

 

2.なぜ給料アップに値するのか述べる。

 

このステップでのコツは、いくつかあります。

 

まず、感情を切り離し、淡々と事実を述べて簡潔に話すこと。

 

「私はこんなだけたくさんしたのに、なんでこんなにも給料が低いのか理解できない」というような感じで伝えるのは絶対ダメです。

 

それよりも、紙にリストアップしたご自分の achievement (業績)を淡々と上げていきます。

 

上司があなたの仕事ぶりを正しく理解できるように「助けて」あげる、というスタンスの方が良いです。

 

部下が多い上司では、部下一人一人の手柄を覚えてないかもしれません。

 

 

相手が「知っているはず」と期待すると、「それなのにどうして認めてくれないの」と腹が立ってしまいますからね。

 

だから、あなたの手柄を「教えてあげる」のです。

 

その際に、できるだけ具体的な例を使って分かりやすく説明しましょう。

 

 

例えば、あなたが具体的になにをやったから売り上げがどれだけの期間に何パーセント増えたか、など。

 

自分のことを話しているのではなく、あたかも、何かのデータについて話しているように、淡々と分かりやすく説明したほうがうまくいきやすいです。

 

フォーカスはあくまで、あなたの業績が給与とマッチしていないことであって、それ以外のことではありません。

 

 

3.相手の意見や望んでいることを聞く。

 

「交渉」は、あなたの要求を一方的に通すものではありません。

 

相手とあなたが対等に話せるためにも、相手側がこちらの要求についてどう考えているか聞きましょう。

 

給料交渉の場合、こちらから切り出さなくとも自然な流れで上司が意見を言ってくれることも多いでしょう。

 

 

4.お互いに同意できる解決策を探す。

 

給料交渉の際には双方の立場が「対等だ」という意識を持っても良いと思います。

 

確かにあなたはお金をもらっている立場かもしれませんが、あなたはそのお金と交換に労働を貢献しています。

 

なのであなたの意見を対等に述べる権利はあります。

 

このステップでは、どんなオプションがあるのかを整理し、双方が納得できるものを選びます。

 

どんな交渉でも、ゴールは Win-Win  になることです。

 

一方が得をして、もう一方が損をすることでもありません。

 

 

具体的には、例えば会社が財政難で今は昇給できないのであれば、代わりに休暇を取らせてもらう、福利厚生を見直してもらう、など別のオプションがあるかもしれません。

 

お互いに納得しあうところまでオプションを出し合っていくのが最後のステップです。

 

もし最善を尽くしているつもりなのに、ダメであるのなら、逆にどうすればもっと昇給できるのか聞いて見ればよいと思います。どういうスキルを身に付けてどういうところを改善してほしいとおもっているのかなど。

 

 

5.結果にこだわらない(万事を尽くして天命を待つ)

 

給料交渉がゴールなので矛盾しているように思われるかもしれませんが、結果にはこだわらないということが最後のポイントになると思います。

 

実際のところ、相手の返事については相手が決めること・コントロールすることです。

 

あなたはあくまで、あなたができることをやる(つまり、仕事で最善を尽くしたうえで状況を変えるための努力をするということ)、そして自分の部分をやりつくしたらあとは相手にゆだねるということです。

 

それでうまくいかなかったら転職を考えるか、もっとスキルを磨いてもう一度チャレンジするなど次の道が見えてきます。

 

なによりもあなたはやるだけのことをやったので、その時点で褒めてあげてよいと思います。

 


 

まとめ

 

交渉はそれほど難しくありません。

 

一番重要なのは、自分に交渉をする許可を与えることですね、やっぱり~。

 

 

ちなみに、「私は社長にむしろ嫌われているのではないかと思っていた」(後述)と書きました。

 

その根拠は、すごく不思議だったのですが、面接以来一回も向こうから話しかけてくれなかったからです。

 

私が話しかけても、はい・いいえ・そうですね・オッケーなど一言しか返して来ず、会話が盛り上がらない(笑)

 

しかも私と話す時、うつむき加減で目を見ないし・・・・

 

 

でも他の人とはジョーク言ったりとかしているのです。

 

 

なぜだ、なぜだ~~~~

 

 

・・・と思いつつ、「こっちは努力したんだから、もういいや」って思い、「そういうもんだ」とあきらめすっかり忘れていました。

 

 

すると、あるとき、知りました。

 

 

この社長は、ただ単にシャイで女性が苦手だった・・・らしいです。

 

社長をよく知る人数人から聞きました。なのでたぶん本当です。

 

 

その会社(IT)では女性が全体で4人ほどいなかったのですが、そういわれてみれば私ともう一人の女性にはあんまり話しかけてませんでした。そしてそのの女性も同じことを感じていたようです。

 

では残りの二人の女性には、なぜ社長は話しかけているのだろう。

 

それは疑問でした。

 

 

本当のところは本人にしかわかりませんが、多分、その二人には役職上、

 

話しかけなければならなかったから

 

だと思われます。

 

一人は人事担当で、もう一人は社長秘書。。。。笑

 

まあ、その人たちに話しかけないと会社回りませんからね。

 

 

ま、いずれにせよ、それとこれ(給料交渉)は別です。

 

*この記事はリカ・ビヤセニョールさんの運営されていらっしゃるウェブサイトに掲載された記事を編集、転載させていただいています。https://rkcoms.net/salary-negotiation/)

 


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【この記事の作者のご紹介】

アサーション講師:リカ・ビヤセニョールさん

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

中学時代から言いたいことが言えなかったが、それに気が付いたのはアメリカに来て英語で生活するようになってから。米系の新聞社で勤務できるほど英語は話せるはずなのに、謙遜してしまう癖や日本人特有の思い込みから、ハッキリ伝えないと通じない社会で生きることに苦労する。

 

朝5時まで残業しても残業代を請求することができなかったり、睡眠時間を削っても頼まれごとを断れずに引き受けたりなどの悩みを抱え、ストレスで円形脱毛症や過度のニキビ等に悩む。

 

アサーションに出会ってからは、英語だけではなく日本語でも(本当の意味で)言いたいことを的確に伝えてこなかったことを痛感し、コミュニケーションパターンを変えることで人生のあらゆる人間関係が変わるのを体感。

 

その後、英語でのジャーナリズムの経験・パブリックスピーキング、コーチングで学んだことをアサーショントレーニングに組み合わ せ、独自のアサーショントレーニングプログラムを開発。講師として活躍中。

 

【ご経歴】

  • 早稲田大学第一文学部心理学部中退
  • 世界最古で数々の有名ジャーナリストを輩出するUniversity of Missouri – Columbia School of Journalism ミズーリ大学コロンビア校ジャーナリズム学部新聞科でNews Editorial を専攻し、2001年卒業。
  • 在学中、Society for News Design, 国際学生新聞コンテストのインフォグラフィックス(ニュースをイラストとテキストで解説するジャーナリズム)部門にて、第3位とHonorable Mention を受賞。
  • CNN Japan Interactive エディトリアル・アシスタント インターン
  • Milwaukee Journal Sentinel (アメリカのジャーナリズムで最も権威があるピューリッツアー賞を数回受賞している米系地方新聞 ミルウォーキー・ジャーナル・センティネル紙 ビジュアル・ジャーナリスト)にて労働ビザサポートを受け、医学・サイエンスのニュースを報道・イラストで分かりやすく解説する Infographics Journalistとして8年勤務。
  • シカゴの日系人材会社にてリクルーター兼、英文履歴書添削
  • 2008年よりフリーランスのグラフィックデザイナー・ウェブデザイン
  • DevExpress 技術翻訳・日本マーケティング
  • 2010年より、 Toastmasters International のメンバー
  • 2010年よりIT関連の技術翻訳(主に和訳)、2016年より特許関連文書の翻訳(主に英訳)を、2017年より自動車関連の翻訳を担当。
  • 2014年より、「言いたいことが言えない人のための」ブログを開始。今までの経歴すべてを活かして、、20アサーティブコミュニケーショントレーニング、日本人のための英語トレーニング、英文履歴書添削などのサービスを開始。
  • 2016年、RK Communications のウェブ部門を開始。
  • 2016年10月にスピーチとリーダシップスキルを高める国際非営利教育団体のToastmasters International の Humorous Speech Contest (ユーモアスピーチコンテスト)のDivision Bで優勝し、11月にDistrict Oneのコンテストでファイナリストとして残る。

 

 

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