採用担当者の目にとまる、強い英文レジュメをつくろう!

※2023年12月22日更新

近年、ロボット、VR、AIといった高度なテクノロジーによって社会が急速に変化していますが、こうした技術革新の波は「採用」の世界にも押し寄せています。これまでの担当者の「経験則」や「勘」が主力であった採用活動にもHRテクノロジーが積極的に導入され、「採用」の現場にも大きな変化が見られます。

求職者も社会の変化を敏感にキャッチして、時代に即した就職・転職活動を行っていく必要があります。今回は新しい時代に採用担当者の目にとまるレジュメのつくり方、ブラッシュアップについて解説していきたいと思います。

 

レジュメも第一印象が大切

初めての人と出会った時に「いい人だな」「仕事ができそうな人だな」と一瞬で感じることはありませんか? 第一印象は、ビジネスでもプライベートでも、とても大切です。英文レジュメでも同じことがいえます。採用担当者に「この人にぜひ会ってみたい」と思わせる第一印象の良いレジュメを作成することが大切です。

スカスカで中身の薄いレジュメ、逆に文字がぎっしりで読みづらいレジュメは採用担当者から敬遠されます。せっかく素晴らしいスキルや経験があってもレジュメの内容やレイアウトが悪ければプロフェッショナルに見えなくなってしまうので注意が必要です。「明確でシンプルなレイアウト」「適度な余白」「読みやすいフォント」「太字や文字の大きさで強弱をつける」などの工夫をして、見栄えの良いレジュメづくりを心がけましょう。

 

重要な情報はレジュメのトップに

アメリカの雑誌「タイム」で、通常採用担当者は応募者のレジュメを6秒以上見ないという衝撃的な記事を読んだことがあります。採用担当者にレジュメの全てに目を通してもらえない可能性もあるため、重要な情報はトップにもってくるとよいでしょう。

上から1/3の部分はレジュメの中でも、最も採用担当者に目を通してもらえる可能性がある場所です。コンタクト情報の次のセクションには、ぜひ力強くまとまったキャリアサマリーを入れましょう。採用担当者にここで自分に興味をもってもらい、先を読んでもらえるようアピールするのです。強い言葉を使い、専門性や技術をアピールするのもよいですし、過去の自分の仕事における功績を数字で表現するのも効果的です。冗長な表現は避け、分かりやすくシンプルかつ魅力的なサマリーをつくることを心がけましょう。

アメリカでの採用では、詳しい仕事内容や範囲、必要な経験やスキル、資格などが記述されたジョブディスクリプション(職務記述書)が最初に用意されます。採用企業はジョブディスクリプションに照らし合わせながら候補者の書類選考を行います。サマリーをつくる際には、ジョブディスクリプションで要求されている経験や知識が強調されるよう工夫することも大切です。

 

キャリアと職務が一致しているか?

アメリカの採用担当者が真っ先に見るのは候補者のキャリアです。どのような企業でどのような仕事をしてきたか。またそこでどのような功績をあげてきたのかということが最も注視されます。応募しているポジションに必要とされているスキルや経験が、自分にはこれだけあって、そのポジションにいかに自分が最適であるかということを最大限アピールしてください。功績については数字で表現するとさらにレジュメが強まります。

新卒の方であれば、どこの大学で何を学んできたのかが注目されます。大学での専攻やこれまでの経験に沿って仕事をすることが前提となりますので、ITエンジニアはコンピューターサイエンスやインフォメーションテクノロジーなどを専攻した人または経験者が採用され、会計のポジションであれば会計を専攻した学生や経験者が採用されるというように、専攻や経験と職種は密接な関係にあります。GPAも重要な要素の一つですので、高いポイントを得ている人は必ずレジュメに記載しましょう。

 

AIフレンドリーな履歴書にする

アメリカでは、フォーチュン500に掲載されている大多数の会社はすでに、レジュメの審査や面接などで、何らかの形でAIを採用のプロセスの中に取り入れています。レジュメの選別に多くの会社でAIが積極的に活用されているので、レジュメもぜひAIフレンドリーにする必要があります。AIによるレジュメ選考を通過しないと面接にたどりつけない場合もあるからです。

一つの方法としては求人情報の中の業務内容や、職務、技能などに使用されている単語で、ご自身の経験などに合致した単語を見つけ出し、キーワード的にレジュメの中でふんだんに使用するという方法があげられます。こうすることによりAIがレジュメをピックアップする確率が上昇し、書類選考でふるい落とされる可能性が減少します。

「SaaS」「クラウド」「DX」「AI」など、トレンドのレジュメ検索ワードを知ることにより、企業が求めている人物像をあぶり出していくこともできます。世の中は大きく動いていますので、自身のキャリアや経験が世の中の動きにあっていなければ、マーケットでの価値も下がっているということになります。

また、レジュメをAIが読み取りやすいフォントにすることも大切です。フォントについてもトレンドがあり、従来レジュメによく使われていたTimes New Romanは今や古くさく、あか抜けないイメージがあるようです。最近ではFranklin、Gothic、Calibri、Helvetica, Tahomaなどのフォントが好まれています。

AIのシステムによってはヘッダーやフッターの情報は読み込まないものもあるので、コンタクトインフォメーションをヘッダーやフッターに書くのは避けましょう。

また矢印や複雑な記号、図などもAIが読めない可能性があるので、使用は控えた方が安心です。さらにレジュメをAIフレンドリーにするには、ワードドキュメントの形式が推奨されます。システムによってはワード以外の形式を読み込めないものもあるからです。またレジュメ全体のデザインも複雑なものではなく、AIが読み取りやすいようにシンプルなレイアウトにすることも大切です。

 

インフォグラフィックを取り入れてみる

最近のアメリカにおけるレジュメの見逃せないトレンドの一つとして、インフォグラフィック(情報やデータを図や表を用いて視覚的に表現したもの)を使用したレジュメが増加しているという傾向があげられます。インフォグラフィックを利用することにより、自由でクリエイティビティといった魅力をアピールすることができます。

この傾向は特にデザイン系の職種に顕著にみられるようです。また、学校でも、建築やグラフィックデザイン、ファッション等のクリエイティブな学問を専攻している場合は、アドバイザーからレジュメをインフォグラフィック化することが推奨されているようです。

一方、ビジネス系の職種では、まだまだ従来の文字中心のレジュメが好まれる傾向があります。文字中心の場合でも、ビジュアルを意識し、見た目のバランスの良さ、デザインを心がけるようにするとよいでしょう。

 

ITリテラシー

近年、企業はITと関係のない部署でもITリテラシーの高い人材を求める傾向が強まっています。実際、企業の採用担当者からITリテラシーの高い方を求めているという声を多く聞きます。

今後も、さらなるテクノロジーの進化、新型コロナウイルスの影響などからITリテラシーの高い人材を採用したいという傾向は強まっていくものと思われます。レジュメの中にもITリテラシーの高さがわかるような工夫をしてみてください。

 

ソーシャルメディアの重要性

アメリカの転職活動においても、ソーシャルメディアの重要性は年々高まっています。採用担当者が応募者について、オンラインでサーチをすることも稀ではありません。従来のレジュメとは異なり、最近のトレンドの一つに、自分が使っているソーシャルメディアのアカウントを記入するというものがあります。

ソーシャルメディアの中でも特に仕事に特化したLinkedInのアカウントをもっているなら、レジュメにぜひ自分のアカウントの情報を記入しておきましょう。LinkedInはアメリカではビジネスのコネクションをつくるために多くの人が利用していますが、採用のツールとしても使用されているので、もっていない方はレジュメをつくる機会に新しくアカウントを作成してみるのもよいでしょう。

また、SNSのアカウントをレジュメに記載する際に注意すべきことは、プライベートな目的で運用しているSNSのアカウントをレジュメに紐づけるのではなく、プロフェッショナルな目的で運用されているアカウントをレジュメと共に担当者に見てもらうことです。ツイッターもプライベートのものではなく、仕事に関連する内容で運用しているならばアカウントをレジュメに含めるのも効果的です。

 

レジュメをカスタマイズする

職種や業務によって求められるスキルや適性が異なりますので、レジュメは一つだけ作成して、どのポジションにも使いまわすということはやめましょう。仕事を獲得する確率をあげるためには、それぞれのポジションに対して、その仕事で求められているスキルや適性を効果的にアピールするレジュメをカスタマイズするようにします。

また、すでに述べたように採用担当者はそれぞれのレジュメを見るのに、ほんのわずかな時間しか費やしません。そうした状況で、他の応募者よりも採用担当者に興味をもってもらうためには、カスタマイズされていない一般的なレジュメではなく、その仕事に最適な人物であることが強くアピールされたレジュメを作成するように心がけましょう。

 

第三者に客観的な目でみてもらう

レジュメは仕事を獲得するための最重要書類といっても過言ではありません。今までレジュメを書いたことがない方や、どうしても上手く書けず自信がないときは、添削サービスや人材紹介会社のリクルーターなどに相談し、第三者に客観的なアドバイスをもらうのも良い方法といえます。自分では気づけなかった点を指摘してもらえたりするので、上手に活用しましょう。

 

レジュメでやってはいけないこと

レジュメを書く際のNGは一般的なことから、時代に合わなくなっているのでやめた方がよいこと、また日本との文化の違いからやってしまいがちな間違いなど様々です。下記のNGを参考にして、失敗のないレジュメを作成しましょう。

1.長すぎるレジュメやスペルミスはNG !

研究者や学問的なもの以外は、レジュメの理想は1ページです。収まらない場合は必ず2ページ以内でまとめるようにしましょう。経歴を簡潔に表現するために、IやWeの主語から始まる文章は避け、OrganizedやManagedなどの動詞から文章を始めるのも効果的です。

また、キャリアの長い方は今までの職歴を全て記入する必要はありません。キャリアサマリーに簡潔にまとめ、実際の職歴は10~15年以内のものを記載しましょう。当然ですがスペルミスも命とりです。しっかり見直して誤字脱字のないよう徹底しましょう。また、インフォグラフィック系のレジュメを作成した場合は、要所で効果的に色を使って見栄え良く仕上げるのもよいでしょう。

 

2.控えめな表現は避ける

日本では謙遜は美徳とされていますが、アメリカでは控えめな表現は避け、自分の実績は明確にしてしっかり主張するようにしましょう。たとえチームで達成した実績であっても、自分が果たした役割やどのように貢献したかを記述します。

 

3.キャリアオブジェクティブ

従来、レジュメを魅力的に見せる方法として、最初にキャリアオブジェクティブを記載したり、最後にReferences available upon re -questなどと記入するのが常識として推奨されていましたが、最近のレジュメではこれらは省略される傾向があります。特にレジュメの冒頭部分では、キャリアサマリーをハイライトして採用担当者に何ができるかをアピールすることに重きをおき、キャリアオブジェクティブはわざわざ書かなくても、レジュメを読めば理解してもらえるよう表現しましょう。リファレンスについての記載は省略して大丈夫です。

 

4.職歴や学歴は最新のものから記入

アメリカのレジュメでは、学歴や職歴は最新のものから古いものへと書くようになっています。また、職務経験のある場合、通常学歴よりも職歴が先に記載されます。 また、日本の履歴書と異なり住所を詳細に書く必要はなく、写真を挿入してはいけません。生年月日や性別、配偶者の有無などのプライベート情報や仕事に関係のない趣味もレジュメには書かないようにしましょう。

 

5.時代遅れなソフトウェア

テクノロジーの進化が目覚ましい今、それぞれの業界において、最新のソフトウェアを使えるかどうかは、人事担当者がレジュメを見る時に注目する大切なポイントです。その業界で新しい流行のソフトウェアが使える場合はレジュメでぜひアピールする必要がありますが、間違っても、業界ですでに時代遅れになっているソフトウェアや、誰もが使えるソフトウェアを自慢げに使えるなどとアピールはしないようにしましょう。人事担当者にかえってマイナスの印象を与えかねません。

 

6.単語の羅列よりストーリー

レジュメで人としての魅力をアピールするときに、Hard Working, Cooperative, Motivatedなどの単語を羅列してのアピールは説得力が全くないのでやめましょう。この場合は短くても良いので、今まで自分が仕事においてどのようにHard Workingだったか、どのようにCooperativeだったかを説明するストーリーを書くと、信憑性が高くなり効果的です。

 

レジュメの最大の目的は、採用担当者に募集ポジションの職務に適したスキルや経験をもっている候補者であるということをアピールすることです。また、期待される以上の仕事ができそうなポテンシャルをもっているということがレジュメを通して伝わることです。採用担当者に「この人に会ってみたい」「この人を採用したい」と思われる魅力的なレジュメを作成して、ぜひ希望のお仕事を獲得されてください。


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