※2023年12月24日更新
アメリカでは転職先の内定に承諾し、現職の勤務先に退職の意思を伝えたところ、カウンターオファー(引きとめ交渉)を受けてしまったというのはよく聞く話です。アメリカでの転職活動においてのカウンターオファーとは、企業が退職希望者に対して給料など良い条件を提示したり、本人が希望する部署に異動させるといった条件を提示し、現職にとどまるよう交渉することを言います。
カウンターオファーをもらった場合、現職にとどまるか、それとも転職先で新たなスタートを切るかは本人次第になりますが、実際のところは新しい会社のオファーを受ける人の方が多いようです。カウンターオファーでよい条件を提示されるということは一見とても良いことのように思えますが、落とし穴もあるからです。
そこで今回は、カウンターオファーを受けた際に考慮すべき点についてまとめてみました。参考にしていただければ幸いです。
企業はなぜカウンターオファーを提示するのか?
まず、企業がなぜカウンターオファーを出すのかについて考えてみたいと思います。アメリカではコロナ禍をきっかけに、自主的な退職が増加していることから「大退職時代(グレート・レジグネーション)」という現象が起こっています。また、COVID-19も落ちつき、求人マーケットが活発になってくると、よりよい条件やキャリアアップを求めて転職をする人も増えてきます。
会社としては、急に退職者が出たり、優秀な従業員に辞められてしまっては大変困ってしまいます。そこで、より良い条件のカウンターオファーを出して、何とか現職にとどまってもらうよう説得するというわけです。
特に余剰の人員などおらず、少数精鋭で業務を行っている部署などでは経験豊富な社員が急に辞めてしまうと、ポジションに穴があいてしまい、業務が滞ってしまうリスクが高まります。会社は空いたポジションを穴埋めするためにすぐに採用活動を行わなければなりませんので、費用や負担がかかります。また、退職者の出た部署では日々の業務に加え大きな負荷がかかります。つまり、カウンターオファーとは退職者のためと言うよりは、会社の都合のために実施されるケースの方が多いのです。
カウンターオファーの内容
カウンターオファーとは、退職意思のある従業員に提示する条件となりますので、好条件が提示されることになります。
提示される内容は、昇給、昇格、配置転換、契約内容の変更などです。この内、最も多いのが昇給で、退職希望の従業員が納得できる金額を提示することができれば引き止めが成功しやすいと言われています。また、現在の役職より上の役職を与え、その分給与も上げる昇進も多く用いられています。昇進を希望する従業員も多いため、優秀な従業員は昇給だけでは満足できないケースも多いからです。
職場環境や人間関係に不満があって退職を希望する従業員も少なくありません。また、現職にやりがいを感じることができず、職務に情熱をもてない従業員も中にはいます。そうした従業員に対しては配置転換によるカウンターオファーが効果的とされています。
また、コントラクトやパートで働いている退職希望の従業員については、契約内容の見直しが行われる場合もあります。正社員への登用や勤務条件の見直しなど、退職希望の従業員の希望する勤務形態が提示され、引きとめに合うケースも見受けられます。
カウンターオファーを断る人の理由とは
・評価への不信感
アメリカの会社では評価制度が確立されています。退職の意思を伝えた瞬間に給料が大幅にアップしたり、昇進が提示されるのは少しおかしな話です。待遇の見直しをお願いしていたにも関わらず、いっこうに改善してもらえなかったのが、退職を告げたとたんにあなたの価値が急激に上がったのでしょうか。退職希望を伝える前は正当に評価をしてもらえていなかったのではないか?これまでの功績や努力に対して何も報われていなかったのではないか?などなど、会社への不信感が募ります。現職にとどまったとしても今後も正当な評価を受けられないのではないかと疑問に思うのは自然な考えかと思われます。
・上司からの信頼の変更
退職の意思を伝えた瞬間から、上司からの信頼は失われてしまう可能性もなきにしもあらずです。カウンターオファーを受けて同じ部署で勤務を続けても、以前と同じ雰囲気の中で業務を続けることはできない可能性が高くなります。上司はいつまた退職希望を出すかもしれないと考えるようになり、あなたも疎外感や上司との距離を感じるようになるかもしれません。
・退職の理由の未解決
カウンターオファーを受けたとしても、転職を考えた理由が解決できない場合も多くあります。昇給や昇進が提示されたとしても、人間関係、やりがい、会社の将来性、などに不満をもっているのであれば、現職にとどまることは何の解決にもなりません。待遇面が改善されたとしても自らの意思で積極的に仕事に取り組むエネルギーが生まれてこなければ働きがいも感じられません。会社の方針、マネジメント、労働環境、総合的に判断して、新たな環境でチャレンジしてみようと結論を出す人も多いようです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今後、カウンターオファーを提示されたら、そもそもなぜ転職活動を行ったかもう一度自問自答してみましょう。カウンターオファーを受けるか、断るか、迷うのは人間として自然な気持ちです。転職先に現職から受けたカウンターオファーの内容について、話し合いの場を設けてもらうのも一手です。すっきりと気持ちを整理して、次のステップに進みたいものです。ご自身の立場や中長期的なキャリアのことを考えて、後悔しないようベストな選択をするようにしましょう。




