2023年5月26日、ニューヨーク市長であるエリック・アダムス氏は、ニューヨーク市人権法を改正して、雇用、住宅、公共施設において身長や体重にもとづく差別を禁止する法律に署名しました。この法律は2023年11月22日から施行される予定であり、ニューヨーク市の雇用主は、求職者や従業員の身長や体重、またはその見かけにもとづいて、雇用機会を拒否したり不利な措置を取ることが出来なくなります。
またニューヨーク市の雇用主は、従業員が身長や体重に基づくハラスメントを職場で受けないように最善を尽くすべきである、とされています。
現行のニューヨーク市人権法は、以下の個人に対する差別を禁止しています:
年齢(18歳以上)、人種、国籍、移民または市民権の状態、肌の色、(身体的および精神的)障害、性別、性自認、軍務経験、家族の状態、逮捕歴、政治活動、(勤務時間外での)合法的余暇活動、遺伝子試験情報、安息日の遵守、婚姻状態およびパートナーシップの状態、妊娠と授乳に対する配慮、介護状況、性と生殖に関する健康上の決定、宗教/信条、性的指向、失業の状態、天然の髪質や髪型、給与履歴、与信履歴およびDV、性的暴行、ストーカーによる犠牲者など。
雇用主がNYCHRL(ニューヨーク市人権法)に違反する場合、被害を受けた個人はニューヨーク市人権委員会に苦情を申し立てるか、州または連邦の裁判所で訴訟を提起することが可能です。
今回の身長と体重に関する差別を禁止する新しい法律の施行に際して、雇用主は雇用機会均等およびハラスメント防止の原則を身長・体重にも適用するよう、各組織に徹底し、社内の文書化された方針や研修資料を見直すべきであり、差別を減らすために、ニューヨーク市とその周辺地域において、この新しい法律の認知度を高めることが求められています。
アダムス市長の声明はこの法律に関して、「身長や体重に基づいて誰もが差別を受けるべきではありません。私たちは皆、外見に関わらず雇用、住宅、公共施設への同じアクセスを受ける権利を持っています。求職活動をする際、外出中に、アパートを借りる際に、自分の身長や体重は重要ではないはずです。この法律は全てのニューヨーカーに対する平等なフィールドを築き、包括的な職場や生活環境を創り出し、差別から保護してくれるでしょう。」と述べています。
体重や身体的な外見に基づく差別はニューヨークだけでなく、カリフォルニア州サンフランシスコ、ワシントンD.C.、ウィスコンシン州マディソンなどで禁止されており、現在、ニュージャージー州やマサチューセッツ州でも体重と身長に基づく差別を禁止する法律が提案されています。
参考
また、テキサス州では2023年5月28日、髪質や髪型など毛髪による差別をなくし、教育や雇用の機会拡大を目的としたクラウン(CROWN:Creating a Respectful and Open World for Natural Hair)法案が成立しました。これはアメリカ全体で21州目となります。
クラウン法の正式な呼び名は「Creating a Respectful and Open World for Natural Hair」、これはつまり「地毛に対して敬意をもち開かれた世界を作る法」という意味です。
クラウン法は2019年7月にカリフォルニア州で最初に成立しました。その後、ニューヨーク州でも同等の効力を持つ法律が成立し、アメリカ各地へ広がっています。
クラウン法成立の背景にはアフリカン・アメリカンがその髪の毛や髪型スタイルなどによって、公の場で差別的な扱いを受けることがあるという状況があります。
クラウン法の推進を支援している最大のグローバル企業である大手日用品メーカーのユニリーバの美容品ブランドであるDoveによる毛髪に関する有色人種差別の調査によると「黒人女性の髪は、白人女性に比べると3.4倍プロ意識に欠けると見なされがち」であり、黒人女性の80%が、「職場に適応するためには、自分の髪の毛を根本から変える必要がある」と回答していることが明らかになりました。
有色人種、特に黒人の女性は、彼女たち本来の髪質やそれに適した髪型でいることにより、様々な職業上の不利益を被っているのです。
テキサス州のCROWN法は2023年9月1日に効力を発揮します。これは雇用主、労働組合、雇用機関、公立学校、高等教育機関に適用されます。
法律では特に、「ブレード、ロック、ツイスト」を保護される髪型として明記しています。ただし、この法律は「人種に関連する一般的な髪型」に基づく差別も禁止しており、これにはアフロ、コーンロウ、バンツーノット、ハイ・トップ・フェードなどの他のスタイルも含まれます。
この法律の施行に際して、テキサス州の雇用主は、ドレスコードや身だしなみの規定を見直し、それらがCROWN法に抵触していないことを確認することが奨励されます。また、雇用主が髪型を規制するポリシーを作成したい場合は、そのポリシーが人種に基づく差別を行う可能性がないことを十分考慮することが推奨されています。
参考
https://capitol.texas.gov/BillLookup/History.aspx?LegSess=88R&Bill=HB567
今回はニューヨーク市での身長や体重に関する差別を禁止する法令、テキサス州で髪質や髪型などによる差別を禁止する法令について紹介させていただきました。こうした法令はアメリカで就職、転職をされている方々や、また働いている方々にも決して無関係ではありません。職場で誰もが安心して気持ちよく働くためにも、アメリカで広がる外見に関する新しい法律などにもアンテナを立て知識を広げておきましょう。
監修
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