アメリカ留学をされている皆さんの中には、将来的にアメリカで働きたいと考えておられる方も多数いらっしゃるかと思います。アメリカにはOPT(Optional Practical Training)やSTEM OPTという制度があり、留学生がアメリカの大学や専門学校を卒業した後、そのまま滞在して専攻と関連のある分野でアメリカの企業で研修することが可能です。今回はOPT(Optional Practical Training)やSTEM OPTについて詳しくご紹介します!
OPTとは
OPTはオプショナル・プラクティカル・トレーニング (Optional Practical Training) の略で、アメリカに留学し、カレッジや大学、OPTを取得可能な専門学校等を修了後に企業等で研修することを言います。どんな職業でも可能というわけではなく、それまでの専攻に関わりのある分野でのみOPTを使用することが可能です。
また、OPTには、卒業前から開始することもできる「OPT:Pre-Completion」(学業修了前)というものと、大学や専門学校の卒業後から開始する「OPT:Post-Completion」(学業修了後)の2種類があります。
OPT:Pre-Completion
1年間以上大学や専門学校にフルタイムとして通った後に開始することが可能で学期中はパートタイムで週20時間まで、休暇期間や休日はフルタイムで研修を行うことが可能です。最長12ヵ月間この制度を使用することができます。
OPT:Post-Completion
1年間以上大学や専門学校にフルタイムとして通い卒業をした後に開始し、週に最低でも20時間のパートタイム、もしくはフルタイムで最長12ヵ月間の研修を行うことが可能です。OPT:Pre-Completionを使用された方はその分の期間が差し引かれるので注意しておきましょう。
留学生の多くが使うのはPost-Comletion(学業修了後)のOPTの方であり、これを一般的にOPTと呼ぶことがほとんどです。以下、OPT:Post-completionについて、詳しくご紹介していきます。
OPT申請資格とルール
2024年現在のOPTの申請資格とルールは下記の通りです。
申請資格
- 申請時に有効なF-1学生資格を保持していること。
- 米国で少なくとも9ヵ月間のフルタイムのプログラムに在籍していること。
- 申請時に米国に滞在していること。
- 専攻分野と関連した研修先を見つける事
- 英語学校(ESL)の学生は申請資格はありませんのでご注意ください。
OPTを利用する際のルール
- 学校が主催するOPTワークショップを修了していること
- 申請の期間はそれぞれの学校のプログラム終了日の90日前から60日後まで
- 研修が週20時間以上であること(ボランティアや無償のインターンなどでも可)
- プログラム修了60日後までにOPTを開始すること
- 研修先を学校に報告すること
- 上記を満たしていれば研修先の変更や複数の研修先でトレーニングを行うことも可能です
OPTの申請プロセスと注意点
OPTの申請プロセス
OPTは在学中の学校の留学生オフィスを通してしか申請できません。OPTを取得するために、まずは学校で行われるワークショップに必ず参加しましょう。OPTについて分からないことがあれば、ワークショップで主催者に積極的に質問しましょう。
以下に、申請プロセスを簡単に解説します
- OPTワークショップに参加する
- 学校でOPTを申請する手続きを行う
- 必要書類をUSCIS(移民局)に提出する
- 米国内で就労許可証明証であるEADカードが発行される
- 研修先を学校に報告する
- 研修開始
必要書類を全て揃えUSCIS(移民局)に提出した後、EADカードが送付されるには数ヵ月かかります。 研修先が決まっていない場合は、この間に探すのがおすすめです。
OPTの申請は早めに!期間の設定にも注意!
OPTはそれぞれの学校のプログラム終了日の90日前から、60日後まで申請が可能です。この期間以外の申請は無効となるので注意が必要です。申請してから実際に手元にカードが届くまでには数ヵ月かかりますので、必要書類を準備し申請は早めに行いましょう。
またOPT開始の日は卒業の翌日から60日以内で自分で自由に決めることが可能です。ですが、仕事が見つかるまでに時間がかかることもありますので、開始の日は余裕を持って慎重に決めるようにしましょう。また、実際にEADカードが来た時に開始日が変更されていることもありますので、EADカードが届いたら開始日をしっかり確認しましょう。OPTが開始して90日以内に仕事を始めなければ、アメリカでの滞在許可を失い、出国しなくてはいけなくなってしまうので注意が必要です。
OPT申請に必要な書類は、移民局によって変更なども起こるので、必ず最新の情報を確認して書類をそろえましょう。学校の留学生オフィスなどで申請についての相談するのもおすすめです。
OPTは学位ごとに行うことが可能
OPTの期間は通常12ヵ月間ですが、学位ごとの設定となっているため、大学の修士や博士課程に進んだ場合はさらに12ヵ月のOPTを行うことができます。たとえば4年制大学で学士号を取得してから1年間のOPTを実施、さらに大学院に進学して修士号を取得してから1年間のOPTを行うというようなことも制度的には可能となっています。
STEM OPTとは
OPTは一般的に期間は12ヵ月ですが、STEM分野と呼ばれる特定の分野(科学、技術、工学、数学など)で学位を取得している場合、要件を満たせば卒業後のOPTの期間をさらに24ヵ月間延長することが可能です。これにより、STEM分野の学位取得者は、卒業後、最長で36カ月間アメリカで研修することが可能です。ただし、STEM OPTで延長した分の24ヶ月間は、通常のOPTのようにボランティアでの研修は認められず、研修時間が週20時間以上で、ボランティアや無給のインターンではなく給与が支払われる研修でなければいけません。
理系だけじゃない?STEM OPTを申請できるメジャー
STEM OPTが申請可能な専攻には、エンジニアリングや化学、自然科学、数学、物理学、生物学、コンピュータサイエンスなどが含まれていますが、現在公表されている米国移民局のSTEM OPTが申請可能な専攻には、いわゆる理工学系でなくてもSTEMとみなされる専攻が数多くあります。
たとえば、バイオエネルギー学、森林学一般、クラウド・コンピューティング、動物人類関係学、気象科学、地球構造学、心理学やビジネスアナリシス、さらにアニメーション、インタラクティブ技術、ビデオグラフィックス、特殊効果などもSTEM OPTが申請可能な専攻です。ですが、同じ専攻でも学校によってはSTEM OPTが認められない場合もあるので注意してご確認ください。
また学校によっては経営学修士(MBA)の専攻でもSTEM申請が可能になる場合もあるようです。STEM OPTが申請可能な専攻は今後も更新されていく可能性が高いのでSTEM OPTを考慮されている方はぜひ、移民局の最新のSTEM OPTの申請可能な専攻リスト(STEM Designated Degree Program List )をチェックしてみてください。
STEM OPTの申請の仕方
OPTと同様に、STEM-OPTは学校を通して申請します。STEM OPTの延長申請は、使用しているOPTの期限が切れる90日前から申請する事が可能です。ですが、USCISは、申請書類をOPTの期限が切れる前までに受け取らなければならないので早めに準備して提出するようにしましょう。
基本的にはルールはOPTの時と同様となっていますが、申請資格は下記の様になります。
STEM OPT申請資格
- 有効なF-1ビザを所持している
- 現在Post-OPTを使用し、給与がある状態で週20時間以上研修している
- 研修内容がSTEM分野に関連する事である
- STEM OPTに申請可能な専攻で学士号以上の学位を持っている
- 研修先が電子雇用認証のプログラムであるUSCIS E-Verifyに登録している
- 研修先と研修計画書であるフォームI-983を作成する事が可能である
STEM OPT延長申請のために研修先も手続きが必要!
STEM OPTを申請する際には、上記の申請資格を満たすため研修先も下記の手続きをを行わなくてはいけません。
- USCIS E-Verifyプログラムに登録する
- 研修先は「E-Verify」として知られる米国移民局 (USCIS) の電子雇用認証のプログラムへの登録が必要になります。E-Verifyは、米国企業が新規で従業員を雇う際に、当該従業員が合法的な就労許可を持っているかどうかを、ネット上で確認できるソフトウェアです。登録は移民局のウェブサイト(www.uscis.gov/E-Verify)上で行うことが可能です。
- フォームI-983を作成する
- 研修先はSTEM OPT候補者と共同で正式な研修計画書(Form I-983)を作成し、留学生の学校指定の職員(DSO)の承認を得なくてはいけません。また、この研修計画書は学生とDSOにより6ヶ月毎の見直しを行う必要があります。
STEM OPTに関する研修先の義務の詳細については移民局のウェブサイトについて最新の情報を確認してください。
OPT・STEM OPT期間中の研修先の変更について
OPT期間中に研修先を変更することは可能ですが変更をした際、そのことをDSOに連絡する必要があります。注意すべきポイントとしてはOPT期間中、研修をしないでいられる期間は90日と決められており、90日以上経っても研修先が見つからなかった場合は、それ以上アメリカに滞在することは認められません。
STEM OPTを取得した場合はさらに60日間の研修をしないでいられる期間が認められるため、通常のOPTとSTEM OPT期間で合計150日間の研修をしないでいられる期間が認められます。研修先が変更された場合、変更後の研修先はSTEM OPTの研修先が必要とされる義務を果たすことを求められます。また研修先が変更された際には前の研修が終了した10日以内、及び新しい研修についてから10日以内にそれぞれDSOへ研修先変更に関するリポートをする必要があるので注意しましょう。
OPT・STEM OPTの方がアメリカで研修先を探すには
人材紹介・派遣会社の活用
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アメリカの就職サイトやLinkedInの活用
IndeedやCareerBuilder、Monsterなどのアメリカの就職サイトに登録をして、自分のレジュメをアップし、希望する職種の求人検索をして、ヒットするものがあれば積極的に応募してみましょう。特定の研修してみたい会社がある場合は、その会社のオフィシャルなウェブサイトに求人情報が出ていることもあるので、そこから直接応募するのもおすすめです。
また、就職サイトではありませんが、米フォーチュン誌の企業番付トップ100社のうち、90社が採用に利用しているといわれる、ビジネスに特化したSNSのLinkedInもおすすめです。LinkedInになじみのない方は、ぜひこちらの記事をご覧ください。
また、カリフォルニアやニューヨークなどの大都市には日本語のフリーペーパーがあり、それぞれの地域の求人などが掲載されています。デジタル版はインターネットでも閲覧可能なので、大都市に住んでいない方も利用できます。ぜひこれらの情報もあわせてOPTの研修先探しに活用してみてください。
今回はOPTとSTEM OPTについて詳しくご紹介しました。将来OPTを申請して卒業後にアメリカでの研修を考えている学生の方、現在OPTをお持ちの方は、ぜひこの記事を参考にアメリカで研修の夢をかなえてください!また、今回ご紹介しているOPTについての決まりやルールは2024年5月現在のものです。OPTに関するルールは変更する可能性があります。OPTを利用する際には必ず移民局のウェブサイトで最新の詳細を確認してください。
参考
https://www.uscis.gov/working-in-the-united-states/students-and-exchange-visitors/optional-practical-training-opt-for-f-1-students
https://www.ice.gov/doclib/sevis/pdf/stemList2023.pdf
https://www.uscis.gov/working-in-the-united-states/students-and-exchange-visitors/optional-practical-training-opt-for-f-1-students
https://studentaid.gov/help-center/answers/article/academic-year