企業は最適な人材を採用するために採用テストをもちいます。

アメリカでの適性検査やテストの種類とその対策を教えます。

これまでアメリカでの採用試験を突破するアドバイスとして、「ロジカルシンキングで就職、転職面接を突破しよう!」や、「アメリカで採用担当者が注目するキャリアの5つのポイント」などの記事をご紹介してきました。近年アメリカでは、企業が求める人材をより正確に見極める方法として雇用の際の適性検査やテストの人気が高まっています。適性検査とは採用試験で候補者の適性や性格などを評価するためによく使用されるテストです。多くの企業にとって適性検査は採用プロセスの一部となってきており、世界最大のHRプロフェッショナルの組織であるSHRM(The Society for Human Resource Management)の報告によると、企業の82%が何らかの形で適性検査を実施しています。企業のこうした傾向を受け、求職者は希望のポジションを獲得するために、アメリカの採用時の適性検査やテストについてより知識を深める必要があるでしょう。そこで今回は、雇用におけるアメリカの適性検査やテストの種類やその対策法などをまとめてご紹介します!

 

アメリカの雇用プロセスでよく使用される適性検査とテスト7種!

一口に適性検査やテストといっても多くの種類があります。アメリカの雇用プロセスでよく使用される7種について詳しくご説明します。

1.職務知識テスト(Job knowledge test)
応募者が特定の職務に必要な知識やスキルをどの程度持っているかを測るための試験です。例えば会計職であれば財務諸表の理解、エンジニア職であれば技術的な知識など、職務に必要とされる具体的な知識が試されます。職務知識テストは、企業が職場でのパフォーマンスや生産性を向上させるために重要視されており、特に特定の業務分野や職務内容が複雑で高度な知識を必要とする場合に効果的とされています。また、職務知識テストは雇用に対してだけではなく、企業内で昇進評価の一環として用いられることもあります。

2.誠実性テスト(Integrity test)
応募者の誠実さ、倫理観、信頼性を測定するためのテストで、応募者の職場でのルール、社会的な規範や不正行為、違法行為に対する態度や意識を調べるための指標となっています。誠実性テストでは「過去に職場でのルールを破ったことがありますか」「他者と協力して働くのが好きですか」などの質問を通して企業は候補者の倫理観や行動傾向が、社風と適合しているかや、同僚とうまく働いていけるかなどを判断します。

3.認知能力テスト(Cognitive ability test)
認知能力テストは、個人の言語能力や数値能力、抽象能力などを測定し、特定の分野における認知機能の測定を行います。一般的に認知能力の高い人材は、以下の能力も高いと考えられています。
・作業タスクをより効率的、かつ正確に実行
・効果的な意思決定
・問題を合理的かつ理論的に解決
・新たな課題や複雑な問題に対して適切な対応

認知能力テストの代表的なものに日本でもよく使用されるGATテストがあります。

4.性格診断(Personality test)
採用企業は、さまざまな性格診断テストを用いて候補者の長所や弱点を詳しく把握しようとします。また、特定の職務に対する候補者の適性を確認するためにも、性格診断テストが実施され候補者が採用後にその役職で活躍できるかどうかを推測するのに活用されます。

性格診断テストには多様な種類や形式があり、分析できる性格要因がそれぞれのテストで異なるため、面接を受けたりキャリアを重ねていく過程でさまざまな性格診断テストが実施されることがあります。下記に雇用の際によく使用される性格テストをいくつかご紹介します。

・キャリパープロファイル
心理学をベースとした診断です。 潜在能力やモチベーションなどを高精度で調べることができます。 またその他の特徴として受講者の長所と短所を分析し、業務内でどんな成果を達成することができるかなどを推定します。

・マイヤーズ・ブリッグス・タイプ指標
個人の性格タイプを4つの対立する特性(外向性・内向性、感覚・直観、思考・感情、判断・知覚)を基に、16種類の性格タイプを導き出します。

・SHLテスト
頭の回転の速さや論理的な理解力など、職務に必要な知能を測定します。ひらめきや発想力が必要で、知識や学力だけでは回答できない問題が多く、事前のテスト対策がされにくい設計になっています。

・ホーガン性格インベントリ(HPI)
リーダーの強みとプレッシャー下のリスク行動、価値観を診断するパーソナリティテストです。フォーチュン500に代表される企業の半数以上で導入実績があり、56ヵ国49の言語で、タレントマネジメントに活用されています。

・DiSC性格診断
DISC理論は、人の行動特性を4つのタイプ(D: 支配的、I: 社交的、S: 安定的、C: 慎重)に分類する心理学的モデルです。William Moulton Marston氏によって1930年代に開発されました。この理論は、個人の行動や対人関係の理解を深めるのに役立ち、特に職場でのコミュニケーションやチームワークの改善に利用されます。

5.感情知能テスト(Emotional intelligence test)
感情知能テストは、候補者の人間関係構築スキルや感情知能を分析します。感情知能とは、自分自身の感情を認識、理解し、管理する能力や、他者の感情を理解し、効果的にコミュニケーションや関係構築を行う能力を指します。感情知能テストで明らかになるスキルとしてチームワークや適応性、共感力などがあげられます。高い感情知能を持つ人は、同僚がフラストレーションを抱えたり失望したりしているときに、対立を解消し、不安を軽減する能力を発揮します。雇用プロセスにおいて企業は候補者が応募したポジションに適した感情知能を持ち合わせているかを確認するために、感情知能テストが用いられます。

6.スキル評価テスト(Skills assessment test)
スキル評価テストは、あなたのソフトスキルとハードスキルを診断します。雇用者は、スキルテストを実施することで候補者の能力への理解をより深めます。例えば、雇用者がPRコーディネーターのポジションの採用を行いたい場合、何分間にどれだけタイプできるか、指定された時間内にニュース価値のあるコンテンツを書けるか、提出前にコンテンツをどれだけ適切に校正できるかを見るためにライティングテストを実施することがあります。さらに追加のスキル評価テストでは、採用プロセスを進めるために、リサーチスキル、プレゼンテーションスキル、リーダーシップスキルなどを示すことが求められる場合などがあります。

7.身体能力テスト(Physical ability test)
雇用において特定の職務に必要な体力やスキルを測定し、適切な人材を選定するためのテストです。特に消防士や警察官、運搬業などの採用候補者に対して広く利用されており、筋力や持久力、柔軟性、敏捷性、バランス能力を診断するため、実技テストやフィットネステストなどが用いられます。

 
一番よく使われるテストは?

上記の様々なテストの中で一番よく使われるテストは認知能力テストだといわれています。本番のテストと似た環境で、模擬テストを受けて練習しておきましょう。本番と同様の時間制限を設定すると効果的です。

 

適性検査やテストの形式

形式は、テストによって異なりますが、一般的に、複数選択式の評価のものが多いです。また、候補者が好みに応じて文に順位をつける形式のものもあります。
ほとんどのテストには制限時間が設けられており、候補者は指定された時間内にできるだけ多くの問題に正解する必要があり、正解した問題が多いほど、全体のスコアが高くなります。テストの制限時間は、評価の種類によって異なるので、受ける前に各テストの制限時間を把握しておきましょう。

通常、各テストの開始時に候補者に例題が提示されることが多く、候補者は例題によりテストの形式や解答方法を理解することができます。性格および行動評価の形式は、他の検査とは異なり、設定された制限時間がないことが多いですが、テストの完了に推奨される時間が提供されます。

また、適性テストは自宅のパソコンでオンライン受検できるものや、テストセンターで行われるもの、筆記形式のものなど様々な種類があります。

 

動画が使用されるテスト

オンラインでのテストの中には動画が使用されるものもあります。
事前に録画された動画テストは、通常、一連の質問で構成されており、候補者は、テストに組み込まれた各質問に答える自分の動画をウェブカメラやモバイルカメラを使用して録画します。

動画を使用するメリットとして実際の職場でのやり取りにより近いシミュレーションが行われることがあげられます。このテストにより、採用担当者は候補者の基本的な態度やポジティブさ、コミュニケーションスタイル、意欲などの特性を迅速にスクリーニングすることが可能となります。動画の使用は、調査の結果、適性検査において評価の正確性と公平性を向上させることが証明されており、今後ますます動画が活用される可能性があることを示唆しています。

 

適性検査やテストに受かるための5つのポイント!

適性検査やテストを受ける際には事前の準備と戦略が必須です。受かるための7つのポイントをご紹介します。

1.職務内容について調査
まずは求人情報をしっかり読み、採用担当者が重視するスキルを理解しましょう。会社や職務の要件についても熟知しておきましょう。また、会社のウェブサイトを注意深く見て会社のミッションやポリシーなどを調べ、テストに出そうなキーワードに注目することも有効です。こうした下調べをすることで採用担当者に示すべきスキルや適性を把握できます。

2.業界と分野への知識を深める
特定の求人では、業界や職務に関する専門知識やスキルが求められ、その知識に基づいた問題がテストに含まれることがあります。応募者は既にしっかりと理解している専門用語やスキルもあれば、ブラッシュアップが必要なものもあるかもしれません。テスト対策として、その業界や分野に関連する専門用語やスキル、知識を再確認し、必要に応じて学び直す時間を確保しましょう。

3.テストの形式やシステム要件の確認
企業に問い合わせて、適性検査の形式(動画形式か選択問題形式かなど)、所要時間や必要な準備があるかなどを確認しておきましょう。また、テストはオンラインで行われる場合が多いため、コンピュータのスペックや推奨ブラウザも確認することが大切です。さらに、ソフトウェアのダウンロードが必要か、マイクやウェブカメラなどの周辺機器が必要かなども忘れずに確認しておきましょう。

4.「1」と「5」を意識する
選択性の適性検査に備える際には、1から5までの「1.非常に同意する」や「5.非常に同意しない」などの選択肢について意識しておくことも重要です。回答をいつも中間の値にすると、採用担当者に平凡な印象を与えてしまう可能性があります。応募する職種で求められる特性を理解し、その役割で成功するために重要な分野では、明確な意思と強さを示すことが求められます。適切な場面で「1」や「5」を選択することにより、テストでの評価が向上する可能性があります。

5.一貫した回答を心がける
テストでは、少し表現を変えて似た内容の質問が繰り返されることがあります。一貫性のない回答をすると、雇用主には警戒のサインと受け取られる可能性があります。たとえば、「自分は外向的だ」と答えた一方で、別の質問では「一人でいるのが好き」と答えると矛盾しているように見えるため、採用担当者からは虚偽や不安定な行動とみなされるかもしれません。

 

最新の適性検査やテスト、スクリーニングトレンド

近年、テクノロジーの進化により、多くの企業がテストのスクリーニングにAIを活用するようになっています。AIの導入により、企業は最も適した候補者を選ぶ手間を軽減し、採用プロセスの効率を向上させています。
AIは具体的に下記のようなスクリーニング作業を行います。
・多くの候補者情報を分析
人間にとって膨大な数の候補者情報を分析するのは手間と時間がかかりますが、AIは独自のアルゴリズムを活用してこれを効率的に処理します。

・候補者の数を絞り込む
AIを使うことで、雇用主は候補者の数を一定の規模に絞ることが可能です。たとえば、500件の応募があった場合、その中から条件にそって効率的に50名の候補者を絞り込めます。

・不適切な候補者を自動的に除外
必要な資格を満たさない候補者、例えば経験不足などの理由で、AIは自動的にその候補者を除外します。これにより、必要な資格を持つ候補者に対するレビューにより多くの時間を充てることができます。

・テストのスコアを算出
AIは候補者のテストの回答やパフォーマンスを分析し、スコアを算出します。このスコアは、会社の要件に最も適した候補者を選ぶための指標となります。

・全候補者に対して平等な雇用機会を提供
AIは偏見なく候補者を評価できるため、評価の主観的な影響を受けることなく、公平な選考プロセスが実現します。AIは提供された情報を慎重に評価し、年齢、性別、民族などに基づいた偏見を排除し、公正かつ合理的な選考を行います。

AIによる適性検査のスクリーニングは今後ますます増加していくと予想されます。テストを受ける際に、採用プロセスにAIが関わっている可能性もあることも事前に理解しておきましょう。

 

今回はアメリカの採用プロセスにおける適性検査について、代表的な種類やテストの形式、またテストにパスするためのポイントや、最近のスクリーニングトレンドなどをまとめてご紹介させていただきました。近年、適性テストは採用プロセスの一環として人気が高まってきており、これらのテストを突破することがいかに重要であるかはいうまでもありません。

適性検査やテストは、ストレスなく自信を持って臨むことが重要です。今回の記事を活用して知識をしっかり身につけ、自信を持ってテストに臨み、ぜひ希望のポジションを獲得してください。

 

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参照
https://www.deliberatedirections.com/pass-pre-employment-test/
https://www.testgorilla.com/blog/7-test-types-for-a-pre-employment-assessment/
https://www.indeed.com/career-advice/career-development/types-of-pre-employment-testing
https://www.skillrobo.com/8-useful-tips-to-ace-your-pre-employment-assessment-tests/
https://www.linkedin.com/pulse/how-pass-pre-employment-assessment-test-questions-ejanc/
https://www.careerproplus.com/blog/pre-employment-testing-what-you-need-to-know/
https://www.deliberatedirections.com/pass-pre-employment-test/
https://xobin.com/blog/how-does-ai-based-employment-test-work/
https://www.practiceaptitudetests.com/resources/how-can-you-pass-a-pre-employment-screening-test/


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