〜在米日本人・留学生・就労ビザ保持者が知っておくべき基礎知識〜
アメリカでは税の申告と納税は個人の責任です。日本のように会社が年末調整をしてくれる制度とは異なり、アメリカでは多くの人が毎年自分で所得税の申告を行います。この制度がタックスリターン(Tax Return)と呼ばれるものです。
今回の記事では、在米日本人や留学生・就労ビザ保持者向けに、アメリカのタックスリターンの申告期限や必要書類、控除・還付などの基本を2026年最新情報でわかりやすく解説します!
※本記事は2026年3月時点の情報をもとに作成しています。
タックスリターンとは?
タックスリターンとは、アメリカで毎年行う所得税の申告制度で、日本の「確定申告」にあたります。アメリカの所得税は主に次の2種類があります。
連邦税(Federal Tax)
州税(State Tax)
州によって制度は異なり、フロリダ州やテキサス州などのように州所得税がない州もありますが、カリフォルニア州やニューヨーク州など多くの州では州税と連邦税の両方の申告が必要になります。
雇用主は年間を通じて給与から税金を源泉徴収(Withholding)してくれていますが、その金額が実際の税額とぴったり合うとは限りません。申告してみると過払い分が戻ってくること(Refund=還付)もありますし、逆に不足分を納める(Tax Due=追加納税)ケースもあります。
申告書にはいくつか種類がありますが、一般的なのが1040フォームです。在米の外国人(Non-Resident Alien)の場合は1040-NRフォームを使います。
どちらに該当するかは、グリーンカードの有無やSubstantial Presence Test(過去3年間の米国滞在日数を基に、その人が税務上の米国居住者かどうかを判定するテスト)をもとに判断します。
アメリカ確定申告の期限
連邦税の申告期限は、毎年4月15日が基本です。この日が土日祝日にあたる場合は翌営業日に延びます。
もし期限内に申告が間に合わない場合は、Form 4868を提出すれば10月15日まで延長(Extension)できます。ただし、これはあくまで「申告書の提出期限」の延長で、税金の支払い期限は4月15日のままです。延滞税や罰金を避けるためにも、納税が必要そうな場合は概算額を先に支払っておくと安心です。
州税については、多くの州が連邦税と同じく4月15日を期限としていますが、州によって異なることがあります。カリフォルニア州やニューヨーク州などの主要な州は、基本的に連邦税の期限に合わせています。
タックスリターンに必要な書類
申告書(1040フォーム/1040-NRフォーム)を作成するために、必要な主な書類をまとめました。
- W-2フォーム:雇用主から受け取る給与・源泉徴収証明書で、日本の源泉徴収票にあたります。
- 1099フォーム:フリーランス収入、利子・配当収入などを記録した書類です。1099-MISC、1099-NEC、1099-INTなどいくつか種類があります。
- 1098フォーム:住宅ローン利子の控除に使う書類で、住宅を持っている方に関係します。
- SSNまたはITIN:Social Security NumberまたはIndividual Taxpayer Identification Numberで、申告に必ず必要な番号です。
- 前年度の1040フォーム/1040-NRフォーム(初回申告を除く):AGI(調整後総所得)の確認などに使います。
税負担を軽くする「控除(Deduction)」の仕組み
アメリカの税制では、課税所得を減らすための「控除」の選択肢が豊富です。大きく分けると「標準控除(Standard Deduction)」と「項目別控除(Itemized Deduction)」の2種類があります。
標準控除(Standard Deduction)
標準控除は、申告ステータス(Single、Married Filing Jointly、Head of Householdなど)に応じて一定額が自動的に引かれるシンプルな仕組みです。
2026年の申告(税年度2025年)では、独身(Single)で15,750ドル、夫婦合算申告で31,500ドルが標準控除となっています。多くの方にとっては標準控除のほうがシンプルで有利なことが多いです。
項目別控除(Itemized Deduction)
一方、項目別控除では住宅ローン利子、州・地方税(SALT:上限40,000ドル)、医療費(収入の7.5%超過分)、寄付金などを個別に計上できます。これらの合計が標準控除を上回るときに選ぶ価値があります。
(※SALT控除の上限は2025年税年度から10,000ドルから40,000ドル(夫婦別申告は20,000ドル)に引き上げ。ただしMAGI(修正調整後総所得)が50万ドル超で段階的に縮小し、60万ドル以上は10,000ドルに戻ります。2030年以降は再び10,000ドルの予定です。)
またトランプ大統領のOne Big Beautiful Bill(OBBBA)により
65歳以上の納税者は2025年から2028年までの期間限定措置として、通常の標準控除に加えて最大$6,000の「シニア向け追加控除」が新設されました(収入制限あり)。
また同じく期間限定(主に2025〜2028年)で、チップ収入(最大25,000ドル)や残業手当(単身最大12,500ドル/夫婦25,000ドル)などの新しい非課税措置や控除が導入されています。ただしこれらは、所得制限や職種などの条件があるため、誰でも自動的に適用されるわけではありません。
さらに標準控除を選んでも、慈善寄付(独身$1,000・夫婦$2,000まで)を追加で控除できます。
子供税額控除(Child Tax Credit)は最大2,200ドルに増額され、扶養家族のいる世帯では税負担が大きく軽減される可能性があります。
在米日本人が注意すべきポイント
就労ビザ(H-1BやL-1など)保持者や留学生(F-1、J-1ビザ)の方は、税務上の居住者区分に注意が必要です。Substantial Presence Testの計算は複雑で、滞在年数や日数によって結果が変わります。
ビザの種類によってFICA税(社会保障税・メディケア税)の扱いも異なります。F-1・J-1ビザ保持者はNon-Resident Alienの期間中はFICA税が免除されますが、H-1B・L-1ビザ保持者は免除の対象外で、居住者と同様に全額納付が必要です。
また、日本に銀行口座や証券口座などの金融資産をお持ちの方は、FBAR(FinCEN Form 114)やFATCA(Form 8938)の申告義務が発生する可能性があります。
FBARは、海外金融口座の合計残高がいずれかの時点で1万ドルを超えた場合、毎年4月15日(最大10月15日まで自動延長)までにFinCENへ電子申告が必要です。申告を忘れると高額のペナルティになることもあるので、要注意です。
タックスリターンの3つの申告方法
申告の方法は大きく3つあります。
1. 税務ソフトを使ったセルフ申告
TurboTax・H&R Block・TaxActなどが人気です。収入が一定以下であれば、IRSのFree Fileプログラムを使って無料で申告することもできます。2025年税年度(2026年申告)のIRS Free FileはAGI(調整後総所得)が$89,000以下の方が対象です。
2. CPA(公認会計士)やEnrolled Agent(税務代理人)への依頼
収入源が複数あったり、フリーランス収入や海外資産があったりと状況が複雑な場合は、プロに任せるのが安心です。費用は内容によりますが、数百〜数千ドルが目安です。
3. IRS主催のVITA(Volunteer Income Tax Assistance)プログラム
VITAは年収69,000ドル以下の方、障害のある方、60歳以上の方、または言語サポートが必要な方が対象で無料でサポートを受けられます。
在米日系コミュニティには日本語対応の会計士も増えているので、英語に不安がある方はぜひ活用してみてください。
還付金(Tax Refund)はいつ戻る?受け取り方法
申告の結果、源泉徴収額が実際の税額より多かった場合は、差額がRefund(還付)として戻ってきます。
最も早く受け取る方法は、オンライン申告(e-file)と銀行への直接振込(Direct Deposit)を組み合わせることです。通常、多くのケースで申告から約21日以内に処理されます。
紙での申告は処理に6〜8週間以上かかることもあるため、オンライン申告がおすすめです。還付の状況は、IRSのWhere’s My Refund? ツールでオンライン確認できます。
なお、近年は連邦政府全体で支払いの電子化が進んでおり、税還付についても紙小切手から電子振込への移行が進められています。
そのため、Direct Depositを利用するための本人名義の米国銀行口座を維持しておくことが重要になります。
特に帰国予定のある駐在員や留学生の場合、帰国後の還付金受け取りに備えて、一定期間は口座を保持しておくと安心です。
タックスリターンは基本を押さえて正しく申告
アメリカのタックスリターンは、初めての方には少し複雑に感じるかもしれませんが、基本的な流れをしっかり押さえると対応することは可能です。
大切なのは
期限をしっかり守ること、
自分の税務上の居住者区分を正確に把握すること、
日本に資産がある場合はFBARなどの申告を見落とさないこと
わからないことがあれば、早めにCPAや税理士に相談するのが一番です。正しく申告することで、余計なペナルティを避けつつ、還付金がある場合はしっかり受け取れます。ぜひ参考にしてみてください!
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※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の税務アドバイスではありません。詳細は税務専門家にご相談ください。
参照
Check if you need to file a tax return
What Is a Tax Return?
Standard Deduction 2025-2026: Amounts by Filing Status
What is the standard deduction for taxes in 2025 and 2026?
No Tax on Tips: What tipped workers need to know now about reporting tip income
No Tax on Overtime Explained: Qualified Overtime Deduction Rules for 2025
Child Tax Credit
Credits and deductions for individuals
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