アメリカでハタラク人にインタビュー!第10回【オーナー&デザイナー 山崎ナナさん】

ハタラク人にインタビュー!

アメリカでは、日本からの駐在員として勤務している人やアメリカ現地で採用された人など数多くの日本人が活躍しています。このコーナーでは、アメリカで働く方々に“ハタラク”楽しさや難しさなどをインタビューしご紹介しています。今回はアパレル会社のオーナー&デザイナーの山崎さんにお話を伺いました。

 

ニューヨークでハタラク、オーナー&デザイナー

山崎ナナさん

山崎さん

Nana Yamasaki
Owner & Designer
www.yammasangyo.com/

 

100年続く考え方やシステムを、創造していきたい。


山崎さんのお仕事について教えてください。

ブルックリンのウィリアムズバーグに「SANNGA」というギャラリーを今年の7月にオープンしました。ギャラリーでは自社製の会津木綿でつくるセミオーダーの洋服やスカーフなどのアクセサリー。陶芸や漆の器等日本の作家さんの工芸品を販売しています。日本でヤンマ産業という会社を立ち上げたのは2008年です。会社立ち上げと同時に「YAMMA」というアパレルブランドも立ち上げました。洋裁師の母の影響で小さい頃からシャツやスカートをつくることが好きだった私にとって洋服の仕事をするということは自然な流れでしたが、洋服関連の仕事をしていくにあたっては自分なりの考えと信念のもとビジネスを考え会社を設立しました。以前より、流行を追い、大量生産、大量消費される現在のアパレルのシステムに疑問をもっていました。ずっと長く着続けられる、流行に振り回されないブランドが世の中にあってもよいのではないか。セールが終わっても売れ残ってしまった処分される洋服達がかわいそう。そんな気持ちからいまの会社はスタートしました。「無駄を省く」「在庫を持たない」「適正な価格で販売する」を柱にアパレルのビジネスについて自分なりに徹底的に考えました。工場に生産を発注すると、ロットという縛りがあります。工場に発注していたのでは、自分の考えるビジネスは成り立ちません。そんな時、洋裁師だった母を思い出し、自分がデザインし、パターンを起こした洋服をお客様から注文をとり、洋裁の上手なおばあちゃん達に縫製をお願いする方法を思いつきました。その後、武蔵野市のシルバー人材センターに通い、洋裁の得意な方や、かつて縫製の仕事や洋裁師をされていた方々をご紹介いただき、ゆるやかにビジネスをスタートしました。いまでは「YAMMA」の洋服のセミオーダーの取り扱い店は増えていきましたが、7年経ったいまでもビジネスのスタイルに変わりはありません。この方法ですと製造原価はかかりますが、ロスが少ないためお客様も製造者もみんなハッピーになれるというシステムになります。会社名に「産業」という言葉がありますが、産業自体も考えたいという気持ちから生まれています。

 

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一升瓶の入るバック


会津木綿との出会いについて教えてください。

ヤンマ産業では定期的に受注会を開催し、お洋服の注文をいただいています。「YAMMA」のお客様は8割がリピーターの方です。会津木綿は、「YAMMA」のファンになってくださったお客様が紹介してくださったものです。会津若松ご出身の方で「きっとYAMMAと会津木綿は合う!」とお勧めくださいました。それまでは麻100%とオーガニックコットンしか使っていませんでしたが、会津で織物を見せていただいた瞬間に一目ぼれしました。会津木綿は会津に伝わる伝統工芸品で、木綿平織のしっかりした布帛で、昔から野良仕事などで広く着用されていました。会津は盆地で夏は暑く冬は寒いという気候です。厚みがありふっくらした質感の会津木綿は、夏はさらっと涼しく風通しもよく、冬は保温性が高く着ると暖かいという、一年中着ていただける優秀な生地です。しかも、一般的な木綿の生地より縮みにくく家庭の洗濯機でじゃんじゃん洗っていただいても大丈夫という優れものです。また、色あせがしにくい堅牢度の高い染色がなされているので、何年着ても最初の頃の色合いがあせることがありません。しかしながら、会津木綿は時代の流れで28軒あった工場もいまでは2軒残るだけとなってしまいました。実はその内の1軒は、社長さんがお亡くなりになり後継者がいらっしゃらなかったため存続が危ぶまれたことから、経営者の一人として工場の運営にもあたらせていただいています。この工場で使われている織機は豊田紡織製の機械で、世界的に有名なトヨタ自動車の元祖、豊田佐吉氏が発明した織機の流れをくんでいます。今では部品を入手するのに困難な貴重な機械でもあります。

 

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色合いも風合いもよい会津木綿でつくったストール

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これまでどのような勉強をされてこられましたか?

美術が得意で美大に進学したかったのですが、親を説得できず高校卒業後は公立の大学に進学しました。文系の勉強は本来自分がしたかったことではありませんでしたので、結局2年で退学してしまいました。その後、出版関係の会社に就職し学費を貯めて、東京藝術大学の先端芸術表現科に入学し直しました。その後同校の大学院の油絵科に転科し、現代美術について学びました。在学中に、アルバイトで舞台で着る衣装のデザインと製作をしていました。オペラ歌手の方のコスチュームををよくつくらせていただいていましたが、動きやすく、スタイルがよく見える、また動いた時にきれいな服にこだわってデザインしていました。「YAMMA」の服はこの時のように、飾ってきれいな服ではなく、着て、動いてきれいに見える服をデザインし製作しています。

 

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使いこめばこむほど柔らかく肌に馴染む会津木綿

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ニューヨークに進出のきっかけはどのようなことだったのでしょうか?

日本の伝統工芸はもっともっと世界で、その価値を認められるべきものと思っています。クールで素晴らしいものをもっと世界に紹介していったら、買いたがる人がたくさんいるのではないかと思ったことがきっかけです。世界の人に知っていただこうと思ったら、日本にいて情報を発信していてもだめなんです。世界中から一流の人達が集まるニューヨークに自分が出かけていって、優れた日本の伝統工芸を紹介していこうと思ったわけです。世界中を見てもニューヨークは国際的な出会いの多い場所です。ニューヨークに来てからは積極的に外にでかけるように心がけています。先日は欧州の著名なデザイナーとミーティングを持ちました。会津木綿をとても気に入ってもらい、来春には会津木綿を使った彼女の作品が欧州や日本で発表されるかもしれません、どんな作品になるかいまからとても楽しみにしています。

 

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お仕事のやりがいや喜びについて教えてください。

年を重ねる毎に「YAMMA」の服と会津木綿のファンが増えてくれるのがとても嬉しいです。また、私達の商品がきっかけで、世界中の人と会津木綿との出会いをつくっていけることにも喜びを感じています。もしかしたら一生出会うことがなかったかもしれない出会いのきっかけづくりをしていることにわくわくしています。会津木綿の良さを理解していただき、喜んでいただけるとますます自分ががんばらなければいけないという気持ちになります。日本の中には、会津木綿だけではなく、いまの時代に合っていないというだけで、後継者が育たない優れた伝統工芸がたくさんあります。現代の経済的なシステムだけの価値観を残していくだけで果たしてよいのでしょうか。私は、常々疑問に思っています。昔からあるものを今の時代にフツーに流通させることができたらと毎日考えながら仕事をしています。

 

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お仕事をしていく上で大切にしていること、心がけていらっしゃることは?

仕事をしている時間は人生の中でウェイトの高いものです。誰にとっても時間には限りがあり、大切なものなので、自分も周りのスタッフとともできる限り楽しく仕事をしたいと思っています。楽しく仕事をすることの一つとして、自分が働いている会社や商品を好きになることがあると思います。うちの会社では、事務を担当しているスタッフにも受注会などの現場に行ってもらうようにしています。自分達の商品に対するお客様の反応を肌で感じてもらうためでもあります。また、まだまだ大きな会社ではありませんので、みんなの協力があってこそいまの会社があると思っています。そうした意味からも、何でもちゃんと話してビジョンを共有し合うことを大切にしています。私個人として大事にしていることは「自由意志」と「創造力」です。この世の中、生きているうちは「絶対」なことはないと思っています。決まっている事などなくて、自分がどう思い、どのようにしていきたいかを自分の頭で考えることが大切だと思っています。

 

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山崎さんにとって仕事とは?

私にとって仕事とは人生そのものです。打ち込める仕事があったからこそ、人生をより豊かに過ごせてきたように思います。私は常々、今日より明日はもっと良くなるものと信じています。いまやりたいことが実現できなくても悲観しませんし、良い明日をイメージするようにしています。それにはビジョンをもつことが大切で、ビジョンがあればタスクがタスクでなくなり、自然にアクションが生まれます。好きな言葉は、稲盛和夫さんの「楽観的に構想し、悲観的に計画し、楽観的に行動する」です。何かあるごとに、この稲盛さんの言葉を思い出し、座右の銘とさせていただいています。

 

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これからの抱負や夢を教えてください。

私の仕事は100年計画です。100年もつような考え方やシステムをつくっていきたいと考えています。今後はニューヨークを拠点に、これまで日本国内で活動していたことを、世界規模で広めていきたいと思っています。まずは会津木綿を軸に、日本の幅38センチの反物の良さを海外の人達に知っていただきたいと思っています。ご存知のように西洋の生地は90センチまたはそれ以上あります。一方、日本では着物をつくる反物などのように伝統的な生地は幅が38センチです。多くの人は、この38センチの反物を海外にもっていっても誰も相手にしてくれないと考えています。でも私は、38センチだからこそできることや利点をウリにしていけばよいと考えています。実際、デザインやものづくりをする立場からするとこの細い38センチの織物は実は優れものなのです。細い生地を継ぎ足していくことで、いくらでも大きなものをつくることができます。しかも、無駄なくエコロジカルにつくっていくことができるのです。会津木綿や日本の木綿産業が盛り上がるよう、ニューヨークと東京でこれからもチャレンジし続けていきたいです。ニューヨークの「SANNGA」での受注会もこれからたくさん開催していきます。また、伝統工芸品を実際に使ってお茶などを試飲していただく、楽しいイベントもたくさん開催していきます。是非たくさんの方に「SANNGA」にお越しいただければ嬉しいです。

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【取材協力】
山川 SANNGA
Yamma sangyo, Inc.
109 S. 5th Street, Unit 104,
Brooklyn, NY 11249
Phone: 917-909-0593
www.yammasangyo.com/
www.facebook.com/sanngabyyamma

 

【取材・文】
QUICK USA, Inc.
551 Fifth Avenue, Suite 620, New York, NY 10176
菰田久美子
Phone:212-692-0850
Email:quick@919usa.com

 

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