アメリカではさまざまな分野で、たくさんの日本人の方が活躍されています。このコーナーでは、アメリカで働いている日本人の方に“ハタラク”楽しさや難しさなど、お話をお伺いしています。今回はジョージア州アトランタでNBAダンサーとして活躍していらっしゃる大西真菜美さんにお話を伺いました。
アトランタで働く、NBAダンサー、大西真菜美さん<
大西真菜美さん(Manami Onishi)
NBA Dancer
自分の心に従って、夢を追いかけてください。
…大西さんの現在のお仕事について教えてください。
2021年8月より、ジョージア州アトランタのNBA(National Basketball Association)チームにて、NBAダンサーとして活動しております。NBAのシーズンは各チームによって多少ばらつきはありますが、10月中旬から4月中旬までです。私達はアトランタのホームで試合がある時に、お客様をお迎えするグリーティング、試合中のタイムアウトやハーフタイムなどでパフォーマンスを披露しています。また、試合日以外では、地域のイベントやチーム主催のイベント等に参加し、アトランタのコミュニティを盛り上げる活動も行っています。
…NBAダンサーの役割とは何でしょうか?
チームの応援はもちろんですが、アリーナにお越しになられたお客様に、会場に入られた瞬間から気持ちを盛り上げていただけるよう、精一杯のおもてなしをしています。我々のチームのダンスは、アトランタのホームで行われる41試合すべて振り付けが異なります。ファンの方に毎回違うパフォーマンスを楽しんでいただけるよう、毎日練習に励んでいます。
…小さい頃からダンスをされていらっしゃったのでしょうか?
3歳から小学校6年生までクラッシックバレエを習っていました。そして、5年生から中学3年まではジャズダンスの教室に通っていました。チアを始めたのは高校に入ってからです。ダンスの経験を活かした新しいチャレンジがしたいと思い、チアリーディングを始めました。大阪の箕面自由学園高等学校という学校のチアリーディング部に所属していたのですが、部員は50人~60人という大きな組織で、これまでに全国大会で23回の優勝経験がある強いチームです。
…チアリーディングの大会にも出られたと伺いました。
公益財団法人の日本チアリーディング協会が主催しているJAPAN CUP日本選手権というチアリーディングの全国大会が年に一度あります。チアリーディングのみの大会では日本最大の大会です。私はチームキャプテンとして出場させていただき、日本一を獲得することができました。
…大学でもチアを続けていらっしゃったのでしょうか?
立命館大学に進学し、応援団チアリーダー部に所属していました。バスケットボール、アメリカンフットボール、ラクロスなど、同大学で試合がある時には常に応援に出かけていました。大学でもキャプテンを務めさせていただいていたのですが、チアリーディングの関西大会や西日本大会などの大会にも出場していましたので、学業、チアリーディング、バイトと本当に忙しい日々をおくっていました。
大学4年生の時には、チアリーディングの日本代表に選出され、2017年に行われた世界大会にキャプテンとして出場し、男女混成チームで優勝することができました。
…大学卒業後はどうされましたか?
チアリーディングはやりきったという気持ちが強かったので引退を決意して、卒業後は旅行会社に就職しました。社員旅行や報奨旅行のアテンドなど、企業の団体旅行を取り扱う部署に配属され、営業、手配、添乗を経験しました。
…チアリーディングを再開されたきっかけは?
旅行会社でのお仕事はとても楽しかったですが、小さい頃からずっとダンスやスポーツと関わってきて、それらが人生そのもののような暮らしを続けてきましたので、スポーツのない生活に物足りなさを感じるようになりました。幸い、勤めていた会社はとても理解がありましたので、会社勤めと並行してサッカーのJリーグのガンバ大阪でチアの活動を再開するようになりました。
…アメリカに挑戦しようと思われたきっかけは?
ガンバ大阪でのチアはダンスが中心で、学生時代に取り組んできたアクロバットの要素のあるチアリーディングとは違いがありました。そこで、勉強のためにYouTubeなどのSNSでアメリカのNFL(National Football League)のチアダンスを研究するようになりました。調べれば調べるほど、アメリカのNFLのチアダンスの素晴らしさに魅せられていき、チアの本場のアメリカでNFLのオーディションを受けてみたいと思うようになり、会社を退職いたしました。
…NFLのチアダンスのどのようなところに魅せられたのでしょうか?
まず最初に、スタジアムもそうですが、規模の大きさに圧倒されました。エンターテイメントとしてのパフォーマンスのレベルも高く、表現力の豊かさなど、これまでに見たことのない素晴らしい世界でした。自分もNFLのフィールドで活躍をしてみたいと思い、オーディションを受けるために渡米しました。
…NFLのオーディションはどのようにして見つけましたか?
チームのインスタグラムにオーディションの予定などが告知されますので、告知されたらチームのウェブサイトへ行き、オーディションの詳細を確認します。そして、内容を確認して応募します。
…NFLのオーディションの合否はいかがでしたか?
一度、ガンバ大阪を引退し、NFLに挑戦しましたが残念ながら合格できず、帰国しました。そして、Bリーグの滋賀レイクスターズのチアリーダーとしてダンスのスキルや魅せ方を学び、翌年に渡米し、NFLとNBAに挑戦しました。
…再度挑戦したオーディションの合否はいかがでしたか?
NFLとは残念ながらご縁がなかったのですが、NBAのチアダンサーのオーディションに合格することができました。インスタグラムでオーディションの動画なども公開していますので、興味のある方は是非フォローしていただけると嬉しいです。
© Kat Goduco Photo Crew
…NBAのオーディションに受かった時はどのようなお気持ちでしたか?
合格者の発表で、私の名前が一番最初に呼ばれたのですが、まったく気がつかず、何回か呼ばれてやっと自分の名前が呼ばれたことがわかるという状況でした。合格したことが信じられなくて、ステージに上がった時は夢のようでした。
© Kat Goduco Photo Crew
…NBAのチアダンサーになられていかがですか?
最初の一年目は英語もよく聞きとることができず、ダンスの振り付けを覚えるのも必死でした。先輩のダンサーに何とかついていけるよう、ひたすら練習に励みました。2年目でようやくなれてきて、現在は一年目のルーキー達をひっぱっていこうという責任感をもって職務にあたっています。
…NBAのチアダンサーになってよかったことは何ですか?
チームに入ってから色々な価値観をもった人と出会うことができ、自分の視野が広がったように思います。NBAダンサーになってから、今までお会いすることのできなかった方ともお話をさせていただく機会があり、人生の勉強をさせていただいています。こうした素晴らしい機会を運んでくれたチアにとても感謝しています。
…仕事の喜びややりがいはなんでしょうか?
アトランタのアリーナへ試合を見に来てくださった日本人の方に会場でお会いした瞬間がとても嬉しいです。これまでバスケットボールやNBAに興味をおもちでなかった方が私のYouTubeやインスタグラムをきっかけにNBAに興味をもってくださり、アリーナまで足を運んでくださる方もいらっしゃるのでとても感激しています。チームの中で、日本人の方へのアプローチは私にしかできないことかと思いますので、アトランタで日本人のファンをたくさん増やしていきたいです。
…夢をかなえるためにはどうしたらよいでしょうか?
「継続力」「信念」「自分のよさをしる」ことだと思います。何事も続けて行うことが大切だと思いますし、やりたいことがあればすぐにできるようになることはありませんので、忍耐力をもって、コツコツと努力を続けてください。また。夢は強く思って周りへ発信していくと、助けてくれる人が現れたり、よい運を引き寄せてくれると思います。また、自分のよさをしることで自信につながったり、心のよりどころとなりますので、人に聞いてもよいので、是非ご自身のよさをたくさん発見されてください。
…今後の夢や抱負について教えてください。
今後アメリカにいるか日本へ戻るかわかりませんが、アメリカで活動が続けられるのであれば、スポーツとビジネスを軸として、日本とアメリカをつなげられるようなことをやっていきたいです。例えば、アメリカのスポーツ界で活躍したいと思っていらっしゃる日本人の方にチームとの交流の機会を設けるなどです。
実際に動き出しているプロジェクトとしては、2月25日に私の母校である箕面自由学園のチアリーディングの部員53名がアトランタのNBAのハーフタイムショーでパフォーマンスを披露することが決定しています。高校生の後輩たちには、NBAでパフォーマンスを披露することで視野を広げてもらえる機会となり、たくさんのインスピレーションを感じてもらえたらと思っています。当日は、一人でも多くの日本人の方にアリーナにお越しいただいて応援していただきたいです。
…夢を追いかけている人たちへメッセージをお願いします。
自分の心に耳を傾けて、心に従って夢を追いかけてください。夢があるのであれば絶対にチャレンジをしなければいつか後悔すると思います。行動を抑圧しているものがあれば、それは何年たっても変わらないと思いますので、できるタイミングがあれば是非行動されてみてください。
…ありがとうございました。
こちらこそ、ありがとうございました。
【取材協力・お問合せ】
大西真菜美さん(Manami Onishi)
NBA Dancer
Email:manami.shinecheer@gmail.com
Instagram: manami_n330
【取材・文】
QUICK USA, Inc.
菰田久美子(Kumiko Komoda)
Email:quick@919usa.com