アメリカでの転職準備、５つのポイント

「転ばぬ先の杖」ということわざがありますが、何事も前もって十分な準備をしておくことが大切です。転職も同じで、事前に入念な準備を行うことで希望の転職を実現させたり、失敗を防ぐことにつながります。今回は、アメリカでの転職の準備の５つのポイントをまとめてみました。

１．アメリカでの転職のスケジュールと流れ

自己分析⇒情報収集、レジュメ作成⇒応募、書類選考⇒面接⇒内定⇒退職⇒入社

アメリカでの転職はおおまかに言うと上記のような流れとなります。

アメリカでは、新しい会社に入社するまでの期間が一カ月以内の方もいらっしゃれば、就労ビザの新規取得や現在おもちのビザのトランスファーなどで数カ月かかる方など、転職に要する時間は人によってまちまちです。しかしながら、アメリカでの雇用関係はアットウィルが基本となっているため退職を申し出てから2週間で退職する人が多く、一般的には日本と比較して、応募から採用に至る時間は短いと言えます。

＊アットウィル雇用とは、雇用主はいつでも理由なしで解雇することができます。同じく、従業員も理由なしでいつでも仕事を辞めることができるというもの。

転職を思い立ったら、以前の記事「アメリカ就職、転職活動の最重要事項！【自己分析と他己分析】Part1」でもお話しましたが、まずは自己分析から始めましょう。また自己分析と合わせて、他己分析も客観的に自分を見つめ直すよいきっかけとなりますので、「アメリカ就職、転職活動の最重要事項！【自己分析と他己分析】Part2」を参考に実行してみてください。

そして、自分の目指す方向性がはっきりしてきたら、求人情報や企業情報など情報収集をしましょう。またアメリカでは英文の履歴書（レジュメ）が必ず必要です。用意のない方は「人事の目にとまる英文履歴書（レジュメ）の書き方」の記事を参考にレジュメの作成をお願いします。

準備が整ったらカバーレターと英文レジュメを添えて企業へ応募します。アメリカでは下記の方法が一般的です。

【求人情報収集と応募方法】

・企業のウェブサイトから直接応募

・求人サイトから企業へ直接応募

・知り合いの紹介で応募

・リンクトインなどSNSから企業へ直接応募

・人材紹介会社経由で企業へ応募

企業への直接応募の場合は、面接の設定、給与など待遇の交渉はご自身で行っていただくことになります。また、合否など結果についてもご自身で確認します。一方、クイックUSAのような人材紹介会社を通じて企業へ応募する場合には、面接の設定、待遇などの交渉は人材紹介会社を通じて行われます。給与など待遇面の交渉はご自身ではなかなかしづらいものです。納得のいく転職を実現するためにも人材紹介会社のご利用をおすすめします。

応募後は、書類選考、面接というプロセスになりますが、アメリカでは日本と比較すると選考結果は比較的早めにもらえます。早い場合には一週間以内に結果がもらえる場合もあります。遅くとも数週間のうちに結果をもらえるケースがほとんどです。

２．アメリカでの転職活動のタイミング

以前の記事「日本とこんなに違う！アメリカの転職事情」でもお話ししましたが、アメリカでは数年間同じ企業でスキルや経験を得た後、より良い環境を目指して転職するというのはごく普通の流れです。欧米人は自分自身が求人市場で需要がある人材であり続けるためにも転職によって自分を成長させる努力を重ねます。転職が一般的なアメリカでは在職中に転職活動を行う人が大多数です。また、アメリカの企業は業績が悪くなればレイオフ。パフォーマンスが悪ければ即刻解雇と容赦なしです。自己防衛のためにも、いつでも準備だけでもしておくほうがよいでしょう。

転職を考えている人の中でも「忙しい」を理由に転職活動を先延ばしにしている人が多いかと思います。会社を辞めてから、時間に十分余裕ができてから転職活動をすればよいとお考えの方もいらっしゃいます。しかしながら、前述のアットウィルの雇用関係から解雇のリスクもありますし、在職中に転職活動をした方が有利になることも多くあります。

在職中に転職活動をした方が有利になる理由の一つに、精神的なゆとりがあげられます。「仕事を辞めること＝収入がなくなる」ということです。失業給付金は永遠に続くわけではありません。無職となり、精神的に追い詰められた状況での転職活動では心の余裕がなくなります。

また、在職中の転職活動の場合、安定的な収入があるため精神的にも経済的にもゆとりをもって転職活動を行うことができます。アメリカでは在職中だからといって企業が面接でマイナス評価を行うということはありません。

３．転職の理由を分析する      

キャリアアップのためなど転職を考え始めたら、その理由について分析してみましょう。現職に何かしらの不満をもち転職を考えている人は何が不満なのかを明確にしてみることが大切です。現職での自分の状況と転職した後の自分の状況をノートに書き出してみることをおすすめします。不満のある人は、職場を変えれば不満がすべて解決されるような気になってしまいがちですが、漠然とした仕事への不満など、自分自身を変えない限り解決できない問題もあることも覚えておきましょう。

ノートには待遇（給与、休暇、福利厚生など）、職務内容、職場環境、人間関係などなど、それぞれの項目で転職の理由をできるだけ細かくあげてみましょう。そうすることによって、転職の際に必ず叶えたい希望の条件が明確になってきます。

４．希望条件、妥協条件などをあらかじめ決めておく

転職の際に希望する、業界、職種、役職、年収、保険や休暇などの福利厚生、ロケーションなど、条件を書き出してみましょう。また、妥協条件なども考えておくと交渉の際に役立ちます。

（希望条件の例）

・年収5万ドル以上…(持ち家のローンの返済と生活維持のために必要な最低額を算出）

・IT業界…（スキルアップ＆キャリア向上のため。勉強した知識を生かしキャリア形成）

・引っ越しは不可…（持ち家があるため引っ越しは不可。子どもの学校など）

・４０１Ｋ、保険…（福利厚生は現職と同等、またはベターな条件であること）

・就労ビザ…（ビザサポートが可能かどうか）

（妥協条件）

・年収が若干下がっても家族の医療保険が100％会社負担など福利厚生がベターであること。

・年収が若干下がってもやりたい仕事に就くことができる。

・他州への引っ越しが伴っても、条件または希望の職種に就くことができる。

５．条件以外で転職先でかなえたいポイントを確認する

【やりたいことをかなえる】

現在の職場では、自分のやりたいことが実現できないと考える場合、自分が本当にやりたいことや目指す方向性を考えてみることをおすすめします。自分がやりたいことをはっきりさせないまま転職をしても、転職先でも迷いが生じてくるでしょう。自分を見つめ直したり、他の人に客観的な意見を聞くことが大切ですが、スキルが伴わなければ採用されませんので、実現するために必要なスキルを身に付けることなども並行して行うことが必要です。

・身につけたい、伸ばしたいスキル

スキルを向上させたい場合、仕事内容に注目してみましょう。詳細なジョブディスクリプションを確認し、どのような経験やスキルが求められているかを確認してみましょう。また、研修制度や資格取得のためのサポートなども会社で用意があるかどうかも調べてみましょう。

・正当な評価や見合った報酬

給与額や賞与の有無、昇給制度など、自分自身が納得できる評価を求める場合、事前に確認しておきましょう。クイックUSAのような人材紹介会社を利用して企業に応募する場合、企業に聞かず人材会社の担当者に質問するようにしましょう。

・職場環境を重視する場合

安定した職場環境や残業時間など環境を重視する場合、可能であれば働いている人の声や職場見学などをさせていただくとよいでしょう。働いている人が挨拶がきちんとできるか、職場の清掃が行き届いているか、働いている人の表情がイキイキとしているかなど、オフィスを訪問する機会があればチェックしましょう。グラスドアなどの評価サイトで評判をチェックしたり、クイックUSAのような人材紹介会社を利用して企業に応募する場合、担当者が職場環境などを把握していますので積極的に質問してみましょう。

以上、アメリカでの転職の準備について５つのポイントを整理してみました。転職をお考えの際に是非ご活用ください。皆様のご転職の成功をお祈りしています。