留学は人生の中で生涯忘れられない貴重な体験の一つになることでしょう。このコーナーでは、留学を通じて得た様々な経験や感想を日本人留学生の方に伺うコーナーです。留学中の楽しかったこと、辛かったこと、海外生活で学んだことなどを写真を交えてご紹介しています。
TEACHERS COLLEGE, COLUMBIA UNIVERSITY (ニューヨーク州)
加藤順平さん(写真左から3番目)
【第6回】
加藤順平さん
留学されている大学:TEACHERS COLLEGE, COLUMBIA UNIVERSITY (ニューヨーク州)
https://www.tc.columbia.edu/abouttc/
「個人の目標」と「組織の目標」をつなげていける、
コンサルタントになるのが目標です。
まず、現在留学していらっしゃる学校について教えてください。
2015年9月より、ニューヨークのTEACHERS COLLEGE, COLUMBIA UNIVERSITYにてアダルトラーニング&リーダーシップを学んでいます。TEACHERS COLLEGE, COLUMBIA UNIVERSITYは1887年に創立された全米最古、かつ最大の教育学大学院です。同校はコロンビア大学の教育学部の役割を務めており、教育大学のランクで常に上位にランキングされています。大学院を選ぶにあたっては、専攻を人材教育や人材育成の分野に決めていましたので、「アダルトラーニング」、「ヒューマンリソース・ディベロプメント」、「オーガニゼーション・ディベロプメント」などをキーワードに学校を探しました。アダルトエデュケーションの分野では、アメリカは進んでいますので、候補の大学院を探すのにはあまり苦労しませんでした。ジョージワシントン大学、ミネソタ大学からも入学許可をいただきましたが、コロンビア大学での語学留学経験や、日本の大学の教授の母校でもあったことから入学を決めました。選考では、エッセイ、TOEFLのスコア、GREや大学での成績(GPA)、推薦状などを提出しました。
学校ではどのような授業を受けていますか?
9月に入学して以来、受講したクラスはセオリー等ベーシックなものが中心です。例えば「ディベロッピング&マネージング・アダルトラーニングプログラム」というクラスでは、企画、ニーズ分析、目標の設定、コンテンツの組み立て方等、成人向けの教育プログラム開発の基礎を学びました。また、LGBT等ソーシャルジャスティスなどのクラスも豊富にあり、できるだけ多くのクラスをとるようにしてきました。今年に入ってからは「ヒューマンリソース・ディベロプメント」のようにフィールドワークのあるクラスも始まりました。タスクなどはこれからですがとても楽しみにしているクラスの一つです。私は日本で就労経験がありますので、実践で学んできたことを大学院で理論として学ぶことにより、さらに理解を深めることができています。
日本ではどのような仕事をされてきましたか?
大学卒業後、進学塾を経営する会社に5年間勤務しました。主な仕事は学校のマネージメントと生徒のカウンセリングです。大学卒業後すぐにアメリカの大学院へ留学する道もありましたが、企業で自分の力を早く試してみたいという気持ちが強かったことと、大学の教授のアドバイスから就職することに決めました。教授のアドバイスというのは、大学院に進学するなら社会人として経験を積んでから行ったほうがよいというものでした。また「これからの時代に強く求められる人材は、アメリカと日本での就業経験をもっている人材」という先生の意見も印象的でした。就職した会社のことは、大学時代にアルバイトをしたヒューマンリソース系のコンサルティング会社を通じて知りました。学生時代、教育という分野に興味が高かったのですが、中学や高校の教師になることより、同じ教育という分野でも成人のための生涯教育の分野で働きたいと思っていました。卒業後就職した会社は、成人のための教育分野ではありませんでしたが、映像を使ったユニークな教育を行っていること。学生達のカウンセリングを通じて、若い人達の本質に触れることのできるよい機会になると思いその会社に就職することを決めました。
働いた経験は大学院で活かされていますか?
職場では、カウンセリングを通じて生徒の成長のためのノウハウを身につけることができました。生徒達の大学合格という短・中期的な目標に向けて、プランづくりやスケジューリング等、生徒一人ひとりをサポートしてきました。生徒の個性はみなそれぞれ違いますが、サポートをしていく上で全員に共通のポイントがあります。それは、まず生徒達の話をよく聞き、生徒達の考えを全面的に受け入れてあげることが大切ということです。「自尊心」「自信」「自立」などがキーワードになると思いますが、生徒達のモチベーションを向上させるには、自分達自身で考えた目標を実践させていくことが大切だと思います。学校のモットーは「独立自尊の生徒を育てよう」というものでしたが、この考え方は大人にもあてはまることだと思っています。英語には「セルフダイレクティッドラーナー」とういう言葉がありますが、アダルトラーニングの分野でも同じ考えが用いられます。若年層の考え方や行動を就労経験で学べたことは、大学院で学ぶにあたってとても参考になっています。大学院ではもちろん新しいことも学んでいますが、就労経験があるからこそ、さらに深く考察できるクラスもたくさんあります。自分の意見としては、社会人経験をしてから大学院へ進学するのはそういう意味でもとてもよいことだと思います。
大学構内の中で、お気に入りの場所を教えてください。
キャンパスの真ん中にあるコートヤードが好きな場所です。歴史のある重厚な校舎にぐるりと囲まれた中庭で、屋根もないので空や星空を眺めることができてとても開放感があります。この中庭にはテーブルと椅子が置いてあり、人も少なく静かな場所なので、勉強をする時にもよく利用しています。私は学校に隣接された寮に住んでいるので、部屋にとじこもって勉強している時間が長くなってしまいます。気がつけば一日中寮の部屋で勉強ばかりしていたということも多々あります。意識的に中庭にでかけて、軽い散歩で体を動かしたり、気分転換をするように心がけています。去年の月食があった時にはこの中庭から月を眺め自然の美しさを堪能しました。
授業以外ではどのようなことをしていますか?
学校のテニスクラブに所属しています。マンハッタンの215丁目に、コロンビア大学所有の体育館やアメフトなどができるフィールドがあります。テニスコートもあり、学生や学校関係者が利用しています。テニスは小学生の頃からずっと継続しているスポーツなので、アメリカに来てからもすぐに団体を探して登録しました。クラブは曜日を決めて集まる定期的な活動はしていませんが、テニスコートに行けば必ず誰かいるので、ラリーをしたり試合をしたりして楽しんでいます。また、今年に入ってからテコンドーのクラブにも入りました。テコンドーは生まれて初めての経験なのでこれからとても楽しみです。スポーツ以外では、クラスのない時間に米系の企業でインターンシップをしています。カウンセリングの内容が多いので、今後はコンサルティング、人材教育、ヒューマンリソースの分野でインターンシップを探していこうと思っています。
留学を通じて学業以外で学んだことは何ですか?
大学院のクラスがはじまる前にとった英語のクラスで、コロンビア人の方と知り合いになりました。その人はヨーロッパの大学院に進学することが決まっており、英語のブラッシュアップのためにクラスをとっていました。年齢も近いせいか、物事の見方や考え方で共感できる点が多く、英語はお互いにとって第一言語ではないにも関わらず自然に会話が弾みました。日本人と日本語で会話をしていても話が通じないことがありますが、お互いにとって第一言語ではない英語での会話でも、こんなにも話が通じ、理解し合えることは私にとってとても新鮮な発見でした。日本にいたら出会えないような人達と話をすることができるのも留学の良さの一つではないでしょうか。これからも自分で壁をつくらずに、言葉や文化を超えて、できる限り多くの人と話をする機会をもつようにしたいと思っています。
卒業後はどのような仕事に就きたいですか?
できればHR系のコンサルティング会社でコンサルタントになりたいと思っています。これからもテクノロジーは発展し続けると思いますが、テクノロジーの発展だけでは社会や企業の発展には限界があると思っています。本質的な変革のためのキーはやはり「人」だと思います。そのためにも、人材育成や人材教育はいかなる組織においてとても重要です。また、人が組織の中で気持ちよく働いていくためにも「どうしたらみんなが幸せになれるのか」という、「個人の目標」と「組織の目標」を並行して考えていけるようなコンサルタントになりたいと思っています。これまでどの組織でも、教育の大切さはわかっているものの、ビジネスのスピードが速すぎて、時間のかかる教育はどうしても後回しになってしまうという傾向にありました。今後人口が減少していく中で、優秀な人材を採用するためにも、優秀な人材を辞職させないためにも、人が成長できる環境を組織は提供していかなければいけません。そうすることによって、より良い企業風土が育まれ、より強い組織になっていくと思います。ワークライフバランスという言葉がありますが、「一人ひとりの人生の充実」と「組織の発展」に学んだことや経験を是非将来生かしていきたいと思います。
〔取材・文〕
QUICK USA, Inc.
菰田久美子
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