留学は人生の中で生涯忘れられない貴重な体験の一つになることでしょう。このコーナーでは、留学を通じて得た様々な体験や感想を日本人留学生の皆様に伺っています。留学での楽しい経験や困難だったこと、また海外生活で学んだことなどを写真を交えてお話を伺いご紹介しています。
University of Wisconsin, Milwaukee (ウィスコンシン州)
中村祐介さん
人の心と心がつながるような仕事をしていきたいです。
留学先の学校と専攻について教えてください。
去年の8月からウィスコンシン州の州立大学、University of Wisconsin, Milwaukeeに交換留学生として留学しています。日本の大学での専攻は経営学で、こちらの大学でも先学期はマーケティングや起業家論など経営学の基本的な理論のクラスを履修しました。今学期はビジネスのクラスに加え、前々から勉強したいと思っていたコンピューターのプログラミングなどテクニカルなクラスを多くとりました。HTML、CSS、PHP、Swift、Java 、そしてデータベースのMy SQLの6コースです。これまでまったくプログラミングの勉強はしたことはなく、クラスの初日に計算機のアプリをつくる課題を出されて、教授から「これを来週までに提出しなかったらこの授業はとらないほうがいいよ」と言われた時にはとても動揺しましたが、Pythonというプログラミング言語で必死にコーディングし、なんとか提出することができました。自分でつくったアプリが、実際に動くのを見た時はやはりとても感動しました。今セメスターは5月に終了しますが、その後は日本の成城大学の4年生に復学します。
将来はプログラマーになる予定ですか?
プログラミングのクラスをとりましたが将来エンジニアになりたいというわけではなく、今後ビジネスをしていく上で必要と感じたためです。自分自身もそうですが、ビジネスを専攻する生徒に共通するフラストレーションは、つくりたいサービスやビジネスのアイデアがあっても、自分にはその技術力がないということです。自分自身の手で何かをつくりたいとずっと思っていたのも事実ですが、それだけではなく将来仕事をした時に、アイデアの実現性について自分でもある程度技術的にイメージができた上で、エンジニアと話をしたいと思っています。プログラミングの経験があれば、知識を共有しながらエンジニアと会話し、自分がつくりたいサービスやビジネスの設計をすることができると思っています。
学校のあるミルウォーキーはどのような街ですか?
ミルウォーキーはウィスコンシン州最大の都市ですが規模は大きすぎず、小さすぎず、ミッドサイズの街です。ビールとチーズの街といわれていますが、ミルウォーキーは札幌、ミュンヘンと並んで世界三大ビール生産地としても有名で、ビールの消費量も全米でNo.1です。ミシガン湖に隣接しているので一年を通じて風は強く、冬は寒さが厳しい所ですがとても美しい街です。ビール醸造所も街のいたるところにあって、レストランなどで気軽にできたての新鮮なビールを味わうことができます。
英語はもともとお得意だったのでしょうか?
中学生の時に「バック・トゥ・ザ・フューチャー」という映画を観た時に、アメリカの文化は自分の感覚にとても合っていると思いました。大学生になってからは外国人の集まるイベントやパブなどに出かけ、自分から英語で話しかけて実践で英語を学びました。22歳の時に、カナダワーキングホリデーに参加することになり、大学を休学してトロントで生活することになりました。英語にはある程度自信はありましたが、実際に生活してみることで新たに学ぶことも多く、とても良い経験になりました。勤務先も含め、周りには日本人はまったくいなかったので、英語の上達は速かったと思います。また、カナダでの生活を通じて、欧米の文化が自分に合っているということを確認できる良い機会ともなりました。
交換留学はいかがでしたか?
9カ月間でしたので、本当にあっという間でした。交換留学は正規留学と違って期間がとても短いので、やりたいことを絞って、短期集中でどんどんと決断をもった上で行動をしないとあっと言う間に終わってしまいます。選択と行動は、交換留学生にとっては大切な鍵だと思います。でも、時間的な制約はある種交換留学の良さなのかなとも思っています。時間があると後回しにしてしまったり、だらけてしまうこともあります。時間が少なければ、限られた時間をとても大切に、有効的に活用しようと努力します。
また、交換留学は学校の代表としてアメリカに来ているので心地よい責任感があります。良い結果を出せば後輩達の未来が広がりますし、学校の評判も上がります。逆に悪い結果であれば、後輩達によくない影響を与えてしまうことにもなるかもしれません。自分も平日は図書館などにこもってずっと勉強していました。
大学構内の中で、お気に入りの場所を教えてください。
図書館の隣にある、噴水のある場所がとても好きで落ち着きます。夜には噴水がライトアップされ、とてもきれいです。この場所は学校に来た初日に発見して、きれいだなと思って写真を撮った思い出の場所の一つでもあります。同時期に交換留学でアメリカに来る学生の中で自分が一番最初に学校に着いたんですが、後から来る留学生にもその写真を送りました。こんなにきれいで、とてもいい学校だから安心してって。(笑)みんなからの反応もとてもよかったです。
学業以外に何か活動はされていましたか?
大学ではカレッジ・アントレプレナーシップ・オーガニゼーションに所属していました。校内の生徒達と起業について学ぶ団体ですが、昨年の11月にはカンザスシティで全米の学生団体が集まるカンファレンスが開催されました。大規模なカンファレンスで、全米の学生達とともにワークショップに参加したり、起業家の人達などの話を聞けるなどとても良い経験になりました。学外の活動としては、日本のスタートアップでのインターンシップをウィスコンシン州でも継続させてもらっていました。アメリカに留学することが決まった時に、アメリカで自分が何ができるかをプレゼンし継続させていただくことになりました。具体的には、ミルウォーキー市内にある起業家の集まるコミュニティに参加し、起業家を育成するプログラムでメンバーと一緒にサービスをつくったり、投資家の方にお会いしたり、起業家にインタビューさせていただいたりしていました。
「スタートアップキャスト」の活動についても教えてください。
「スタートアップキャスト」は、今回の交換留学中に友人と二人で立ち上げたサイトで、アメリカの起業家の情報を発信するウェブメディアです。メディアを立ち上げるにあたっては、当時サンフランシスコに住んでいた友人と手分けして、トロント、ニューヨーク、シカゴ、マイアミ、サンフランシスコなど大都市のスタートアップのリストをつくりました。3千社くらいのリストになりましたが、Eメールを送りインタビューを申込むことからはじめました。なかなか返事はもらえませんでしたが、返信をくれた企業に対しては、実際に現地へ出向き話を聞いたり、スカイプなどで話を聞くなどして、ユーチューブなどで情報を発信していました。アメリカのスタートアップのトップとのインタビューなどをアップしていますので是非「スタートアップキャスト」ご覧ください。
起業家の方達とお話をしていかがでしたか?
チャレンジしている起業家達の生き方や思いに共感するとともに、実際にチェレンジしている彼らの熱意を実感することでとても勇気づけられました。彼らの背中や様々な生き方を見せてもらったのは、自分にとって生涯の財産ともいえるほど貴重な経験となりました。起業家の中には他の国からアメリカへチャレンジしに来ている人も多くいて、異国の地でみなそれぞれの思いをもってチャンレジをしているということもわかりました。また、起業家達は起業をリスクと捉えていないということも印象的でした。彼らの話を聞いているうちに自分も人生やリスクに対する考えが少し変わりましたし、「社会や人のためになることで、自分でやりたいことがあったらやるべき」という彼らのオピニオンを聞いて前に踏み出す勇気ももらいましたし、ポジティブだった性格がさらにポジティブになりました。(笑)
学業以外で、留学を通じて学べたことは何でしょうか?
まず、スキルでいえばマルチタスク力です。自分の場合、短い留学期間中に数多くのことを達成したいと思っていたので、同時にいくつかのタスクを並行して進めていく必要がありました。目標を成功させるために、それぞれのタスクをオーガナイズし、常に修正を加えながら、毎日の行動に振り分けて行動していました。また、トロントでのワーキングホリデーでは抽象的だった、結果を出すことや行動することの意味を、今回の留学中に実感できたことはとても大きな成果だと思っています。結果を出すことや行動に移すことはいかに難しいかということを頭の中だけではなく身をもって体験しましたし、手間のかかる面倒なことをすることによって、素晴らしい機会にめぐまれたり、素晴らしい人達に出会いもたくさんありました。これまでやってきたばらばらだったことが、点と点を結ぶように繋がってきたのも今回の留学期間中でした。
将来はどのような仕事をしたいですか?
日本に帰ったら大学4年生に復学し、来年の春に卒業します。卒業後は大手電機メーカーに就職する予定で、セールス・マーケティングの仕事をしていきます。最初の2年間は自分の価値を出していきながら、基礎力を身に付けていきたいと思っています。これまでインターンシップなどの経験から、新たなことを考え実行に移す応用力はあっても、基礎力はまだまだ足りないと思っています。先輩方の力を借りることもあると思いますが、まずはユーザーと向いあって、ユーザーに対して自分達の商品を広めていくマーケティングとセールスの基礎力を身に付け、結果を出して貢献していきたいと思います。また、わくわくする仕事、人の心と心がつながるような仕事をずっとしていきたいと思います。
http://startupcast.xyz/?lang=ja
〔取材・文〕
QUICK USA, Inc.
菰田久美子
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