このコーナーではアメリカの人事関連の情報や、ビザ等アメリカで働くために有益な最新情報を発信しています。今回は、Pacific Dreams, Inc.の酒井氏による「従業員への人事評価上の肝」をお届けします。是非、参考になさってください。
【アメリカ人事・労務関連】従業員への人事評価上の肝
年末から年始にかけて従業員の人事評価を行う日系企業も沢山おありになろうかと思います。企業それぞれに社内での人事評価制度があり、それに基づいた評価をなさっておいでのことだろうと察します。それぞれの評価制度に盛り込まれた評価項目には、各企業の業種や業務ごとに応じて異なるアイテムが設けられていることでありましょう。評価項目のアイテムに違いがあっても、それぞれの項目を10段階、5段階、あるいは3段階で評価を行い、最終的にそれらの総計を出して全体評価をつけるというやり方に関してましては恐らく大きな違いはないのではないかと考える次第です。
そこで、今回はまさに評価制度の肝となるところの段階的評価について少し考察してみます。まず話を標準化するために今回は5段階での評価での場合を前提としてみます。その際、通常ですと1から5の数字を使って評価を表わすということが至極一般的であり、常識的なやり方ではないかと思われます。評価する側も評価を受ける側も自分が学校に通っていたときからおおよそ同じ評価を受けてきたことからしても、もっとも抵抗無く自然に受け入れられる方式だと申し上げられます。しかし、ここにはひとつの落とし穴が潜んでいます。
それは、特に評価を受ける側からの立場として、誰しも自分の評価としては5をもらいたいという欲求が自然と出てまいります。当然と言えば確かにそれまでなのですが、特にアメリカ人の従業員はその欲求が日本人からのそれと比べてみましてもより強くあるように感じるときがあります。とりわけ学校に通っていた頃から優秀な成績を収めていた人は、会社に入ってからも学校の成績表と同じく、自分はすべてオール5をつけてもらえるのが当然だと考えている人たちも少なからずいるのです。ところが、日系企業に入社して日本人の上司からつけられる評価は決してオール5のようなものではなく、中には3が評価で入っていたりするわけです。そうしますと、「自分は生徒であったときから、3などはつけられたことはないし、見たこともない、このような評価は考えられないし、到底受け入れられない」といってクレームを出してくる方も中にはいらしたりします。
これに対して、日本で仕事をしていたときにはまずそのような部下からのクレームは皆無であった日本人上司は、それらのクレームや要求に驚くとともにたじろいでしまい、挙句には根負けしてしまい、あるいは事を荒立てたくはないということで、本意とはうらはらに5や4の評価に付け直したりします。このようなことを一度でも許してしまいますと、交渉上手な人や弁の立つ人は評価面談の際には、いつもネゴを仕掛けて、自分のペースに巻き込み入れてより有利な評価に変えさせる算段に暇がありません。果たしてこんなことでよいのでしょうか。
このような評価面談時のゴリ押しやゴネ得の部下との対峙を少しでも緩和する上での防衛策としまして、5段階評価をあえて数字は使わないで表示するというやり方をとってみます。より具体的に申し上げますと、まずは言葉による5段階評価の基準を設定しておいて、その表現の頭文字を評価としてつけるというやり方がその一例となります。たとえば以下のような基準です。
A: Always Exceeds the Expectations 本来の5に相当する
E: Exceeds the Expectations 本来の4に相当する
M: Meets the Expectations 本来の3に相当する
T: Tries, but Not Meets the Expectations 本来の2に相当する
N: Not Meets the Expectations 本来の1に相当する
ですから、評価表にある各項目の評価はこれらいずれかのアルファベットの頭文字で表記されることになります。冷静に考えてみれば、本来の3であれば、それは、Meets the Expectations に当るわけですので、それでそれで評価としてはむしろ妥当な線なのであって、決して悪い評価を本人につけているわけでも何でもないことがわかります。そして5の評価となりますと、Always Exceeds the Expectations が言葉による表記になりますので、これはそう簡単には達成できるレベルではないことが感覚的にもおわかりになっていただけるのではないかと思われます。
とある日系企業で毎年部下の評価時期が近くなってくると憂鬱になり、胃が痛む思いをなされていた日本人管理職の方が弊社のクライアント企業の中にいらっしゃいました。部下のアメリカ人従業員から毎回強烈なネゴを仕掛けられ、それに渋々屈していたという苦い経験を繰り返していたわけです。そこで、上記の言葉による表記による評価方式に変えてみたところ、従業員からのネゴは激減し、従業員の納得感も増大したという好循環を実現することができたのです。むろん彼の胃痛も完治したのです。ことほど左様に、ちょっとした工夫次第で人事評価の受け止め方は大きな違いを生むことになります。評価制度をいじくりまわしてより複雑怪奇なものにしてしまわないよう、まずは制度の肝となる部分に小さな改善を施されてみてはいかがでしょうか。
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【執筆者ご紹介】
酒井謙吉氏(Ken Sakai)
President & CEO
Email :kenfsakai@pacificdreams.org
※記事に関するお問合せは上記までお願いいたします。
【酒井謙吉氏プロフィール】
信州大学卒業後、YMCAでの語学講師などを経て1987年にオレゴンに渡米。当時三菱金属(現:三菱マテリアル)が買収した米国半導体シリコン製造会社に勤務。1996年に退職後、パシフィック・ドリームズ社を立上げ、在米日系企業ならびに米国企業のクライアントを対象に人事管理コンサルティング、マーケティングと異文化コミュニケーションのノウハウを提供している。また全米各地で、毎月日系企業向けの人事セミナーを精力的に展開している。
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