このコーナーではアメリカのHR関連の情報やビザ等アメリカで働くために有益な最新情報を発信しています。今回は2018年7月1日からカリフォルニア州で施行された公正雇用居住法(FEHA: Fair Employment and Housing Act)の改定法についてPacific Dreams, Inc.の酒井謙吉さんが解説くださいました。
【第44回】カリフォルニア州公正雇用居住法の改定について
2018年7月1日より、カリフォルニア州の雇用および住居に関する州法であります公正雇用居住法(FEHA: Fair Employment and Housing Act)の改定法が施行になりました。1959年に制定された長い歴史を持つ本法は、今までにもProtected Class(法的に保護を受ける階層)における差別やハラスメント禁止を職場ならびに住居の分野で改定や修正を加え充実させてまいりましたが、今回の改定では「出身国(National Origin)」の保護に関しての新たな定義の確立とその拡張を盛り込んでいます。この出身国の定義は改定によって以下の6つのカテゴリーを包含することになります。
1. 出身国に関連した、(身長や体重などを含む)身体的、文化的、言語的特徴
2. 出身国グループに属する人との結婚した配偶者
3. 部族出身者
4. 出身国グループ団体や支援団体のメンバー
5. 出身国グループによって運営されている学校、教会、寺院、モスク、その他の宗教団体への参加や出席すること
6. 出身国グループに関係する名前
上記に記されている「出身国グループ」には民族グループ、もともとの出身起源地、現在はまだ存在していない国なども含まれます。(例としては、独立運動を展開中ではあるがまだ国際社会からは認定を受けていない国や州など)
このような改定された出身国に関する定義のもとで、雇用主が以下のような社内ポリシーを設定することは本法によって禁止されることになります。
1)英語のみのルール(English-Only Rule)を含む、いかなる言語の使用を制限したり禁止したりするポリシーを設けること
2)雇用主は従業員が職務の遂行を十分に果たしている限り、英語の習熟度(English Proficiency)の違いをベースにした差別を従業員に対して取ること。(ただし、職務の遂行上において英語の習熟度が欠かせない場合はこの限りではない)
3)従業員が持つ英語のアクセントの違いによる差別をすること。(ただし、職務の遂行上において英語のアクセントの違いが重大な妨げになる場合はこの限りではない)
2) と3) にはそれぞれ例外規定が設けられてはおりますが、それは雇用主の業務上においてどうしても必要な場合(Business Necessity)にのみに限定されるとしており、Business Necessity は必ずしも Business Convenience(業務上の利便性)ではないということが指摘されています。つまり、業務上の利便性を得るために従業員の持つ英語の習熟度やアクセントによって何らかの差別を設けるということはもはやカリフォルニア州では許されない禁止行為になります。
もしそのような差別を従業員に対して行った場合は、法に反する違法なハラスメント行為であるとみなされますので、雇用主側からすれば大きなリスクになりかねません。まずは皆様の会社にある従業員ハンドブックに書かれてある会社ポリシーの見直しからスタートしてみていただく必要があるかと存じますので、弊社のような第三者機関にご相談いただければと思います。
【執筆】
酒井 謙吉
代表取締役
Pacific Dreams, Inc.
www.pacificdreams.org
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