アメリカ・日本 音声メディアを考えてみる Part:01
最近何かと話題の音声SNS:Clubhouse (クラブハウス)の盛り上がりの影響もあってか、益々音声メディアへの注目度は高まっているように感じます。
そこでこの機会に改めて「音声メディア」に関しての深堀りをしつつ、今後のブランディングやマーケティング視点で見た音声メディアの活用方法などを考えていきたいと思います。
そもそも、音声メディア(オーディオメディア)とは?
– 音声メディアは大きく分けて4種類
1.ラジオ
ラジオ局(主に企業)が制作する音声プログラムを電波やオンラインで配信
例:NPR、Sirius、ニッポン放送、TOKYO FM、radiko
2.オーディオブック
本や朗読や講演・セミナー音声、教育プログラムなどの音声配信
例:audible, Google Play, audiobook
3.音声配信プラットフォーム
音楽&ポッドキャスト:企業やクリエイターが制作する音楽や音声コンテンツをアプリで配信
例:Apple / Google Podcast, Pandora, Spotify, Voicy, himalaya
4.音声SNS(オーディオソーシャルメディア)
ライブ配信でのリアルタイムの会話、フォローなどインタラクティブな機能が特徴
例:クラブハウス、TwitterのSpaces, stand.fm
– 世界で見る音声メディアの浸透率
参考までに、音声メディアの中のポッドキャストを月に最低1回は聞いているという人口の割合を示した世界地図です(これは2018年時点の数字ですが、この比率は年々増加しています。)
カナダは36%と高い比率で、アメリカや中国も25%以上なのに比べて日本は8%と低い浸透率なのが分かります。逆に、日本ではそれほど浸透していない音声メディアだからこそ、今後の発信メディアとしての伸びしろや可能性はまだまだ大きいと思います。
アメリカでは音声配信サービスの浸透が早く、2020年には12歳以上の68%、推定1億9,200万人が前の月にオンラインで音声コンテンツを聞いたと答えています。
2020年では、12〜34歳は86%、35〜54歳は76%、55歳以上でも42%の人が、前月(月間)オンラインで音声コンテンツを聞いたと答えています。
アメリカの代表的な音声メディア
・Apple Podcast:https://apps.apple.com/us/app/apple-podcasts/id525463029
>プラットフォーム(iTunes ⇨ Music, Podcast, TVに)
・Google Podcast:https://podcasts.google.com/
>プラットフォーム(Android向け、2018年6月開始)
・Audible(Amazon傘下):https://www.audible.com/
>本の朗読や教育コンテンツ配信(1995年創業、2015年より日本でもサービス開始)
・Pandora Radio:https://www.pandora.com/
>音楽レコメンデーション、プレイリスト管理サービス(2000年、カリフォルニア発)
・Spotify(スウェーデン発):https://www.spotify.com/
>音楽配信プラットフォーム(2011年アメリカ進出、2019年よりPodcast強化)
コメント:
・オープンプラットフォームとしてのメディア
・世界的に生活に浸透している
中国の代表的な音声メディア
・ヒマラヤ(himalaya):https://www.ximalaya.com/
>小説などを音声化、配信者をユーザー投票、配信者(主にプロ)に報酬
>有料コンテンツが見れる会員制
・ライチFM(lizhi.fm):http://www.lizhi.fm/
>素人のオリジナル番組が主、インタラクティブ、若者向け
>ライブ配信や投げ銭機能
コメント:
・クリエイターに報酬が入りやすいシステム
・若い世代に向けたサービスの充実
日本の代表的な音声メディア
・Voicy:https://voicy.jp/
>音声番組配信プラットフォーム(10分間のコンテンツ、企業向けプラン)
・Stand.fm :https://stand.fm/
>音声配信プラットフォーム(ライブ配信、質問受付機能など)
・audiobook.jp : https://audiobook.jp/
>日本最大のオーディオブック配信サービス(2007年にFeBeとしてサービス開始、2018年名称改名)
・Dabel : https://dabel.app/
>日本発の音声コミュニケーションアプリ(2019年1月サービス開始=実はClubhouseより早い!)
コメント:
・英語圏、中国語圏と比較すると日本語のみは規模が小さい
・アプリやサービス内だけでしか聞けない(ガラパゴス化?)
・音声文字起こしや検索機能が強化されるはず
– 音声メディアの今後と可能性
マーケティング視点で考える音声メディア
・Youtube(動画マーケティング)はすでにレッドオーシャン
・Spotify, Twitter (Spaces, 音声企業の買収) などの大手企業も力を入れてる
・スマートスピーカー、ワイヤレスイヤホンの浸透
・オバマ元大統領夫妻、キムカーダシアンなどもポッドキャスト番組開始
・エルメス、ディオールなどもブランディングにポッドキャストを活用
・音声検索などの進化(コンテンツとしての資産、探しやすくなる=マッチング増える)
そして今後の企業としてのブランディングやマーケティング視点で考えるなら、音声メディアの中でも断然ポッドキャストの活用をお勧めしたいと考えます。その理由の前に、統計的なデータを見ていきましょう。
アメリカにおいては、2020年で12歳以上の37%:推定1億4,000万人がポッドキャストリスナー(月間)であると言われています。ここ5年間の上昇率も年々伸びているのが分かります。
https://www.edisonresearch.com/the-infinite-dial-2020/
2020年では、12〜34歳は49%、35〜54歳は40%、55歳以上でも22%の人が、前月(月間)に、
ポッドキャスト番組を聞いたと答えています。特に若い世代にポッドキャストが、急速に浸透しているのが分かります。
音声メディアの良いところ(ポッドキャスト)
——– ユーザー視点:
-
スマホなどにダウンロードして好きな時間に手軽に聴ける
-
何か別の作業をしながら聴ける(運転や通勤、家事、散歩、エクササイズ中など)
-
日々のニュースを聞いたり、英語の勉強などに最適
-
時間を無駄にすることなく有益な情報が得られる
-
世界中の様々なカテゴリーのコンテンツが楽しめる
-
アーカイブされるので過去の音源を何度も繰り返し聞くことができる
——– 発信者(番組運営者)視点:
-
音だけなので、よりユーザーの想像力を掻き立て感情を刺激し共感を得やすい
-
共感を得ることで、親密性や信頼感を獲得しやすく深く永い関係構築が可能
-
世界観や価値観が伝わるので力強いブランディング効果が見込める
-
リスナーとの深い関係性により高いエンゲージメントが得られやすい
-
国境を超えた発信が可能(エリア、デバイス別の視聴数などのデータ解析)
-
全てのコンテンツをアーカイブして保存でき、活用方法が幅広い
冒頭で触れた話題の音声SNS:Clubhouse (クラブハウス)の盛り上がりもあり、音声メディアと既存のソーシャルメディアとの融合も進んでいくと予想されます。また、AIを使った自動翻訳や音声検索などの分野でもどんな風に進化していくのか楽しみですね。
次回はPart:02 として、マーケティングの視点で見る音声メディアの活用方法やコンテンツアイデア、そしてポッドキャストのマネタイズ方法などのお話をしたいと思います。お楽しみに!
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【プロフィール】
カリフォルニア州レドンドビーチ在住。愛知県豊田市生まれ。21歳で渡米後、レストランでアルバイトをしながら、バンド活動とサーフィンに没頭。メディア運営に興味を持ち始め、ビジネスの世界へ。
全米最大級の日系オンラインメディア運営会社にて、広告販売を中心とした営業部の立ち上げ、新規エリア開拓、マーケティング戦略・イベント企画の立案、遂行など、営業/販売サイドの統括責任者として実績を残す。11年連続売上増に貢献した後退社。2016年1月、米国法人 Zero-Hachi Rock, Inc.を設立。ロサンゼルスを中心に、起業支援、日系企業のセールス/マーケティング支援、日本企業のアメリカ進出支援を主な事業として活躍中!
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