前回の記事では、コミュニケーション力がいかにビジネスで大切かというお話をしました。復習すると、ビジネスでのコミュニケーションでは、明確に意思疎通をすることによりビジネスを成功させることが最大の目的です。
そのためには、相手の言うことを正しく理解し、伝えたいことを適切に表現できるという基本的なコミュニケーション力はもちろんのこと、「相手の求めているものを聞き出すことができる」「相手の真意をくみとることができる」「納得してもらうよう交渉できる」「問題を解決し理解を深めてもらう」「会話により信頼関係を築くことができる」など高度なコミュニケーション能力も求められます。
面接においてコミュニケーション力は、面接官がチェックする項目として常に上位にあげられています。そこで今回は、就職活動においてマジックワードともなっている「コミュニケーション力」について、企業や面接官はどういう視点であなたのコミュニケーション力を見抜こうとしているかについてお話ししていきたいと思います。面接については「これさえ掴んでおけば怖くない!日米で使える面接マナー」も是非ご覧ください。
コミュニケーション力を見極めるための面接時における質問
面接官は、求職者が質問の意味を正確にとらえ、適切な回答をしているかを常にチェックしています。面接では質問の意図もくみとり、的外れな回答で面接官をがっかりさせないようにしましょう。
まずは、面接でよく聞かれる質問に焦点をあてて、面接官はコミュニケーション力のどのような点をチェックしているかを見ていきたいと思います。
面接については下記記事がとても参考になります。併せてお読みください。
・面接官の質問とその意図をきちんと理解できていますか?
まず面接で大切なことは、面接官の質問内容を理解し質問の意図をくみとることです。質問に対して的外れな回答をすると理解能力の低い人とみなされますので絶対に避けましょう。また、「面接でよく聞かれる質問集」が出版されているほど、定番の質問はいくつかあります。聞かれそうな質問は事前に回答の準備をしておくことが大切ですが、質問には面接官の意図があるということもここで覚えておきましょう。ここではよく聞かれる質問とその裏に隠されている面接官の意図について例をあげてみていきたいと思います。
【自己紹介をしてください】
人との出会いはまず自己紹介からはじまります。面接官はあなたという人がどういう人なのかを知りたいと思っています。第一印象はもちろんのこと、1分程度の短い時間であなたという人間について伝えることのできるコミュニケーション力(プレゼン力)がどの程度あるのかを見極めようとしています。
★ポイント
・「氏名」「学校名と専攻(現職または前職の社名・所属・職種)」「熱意が伝わる締めの言葉」の3つのポイントを必ず盛り込みましょう。
・キャリアやスキル等、自分の強みを簡潔に伝える
・初めて話を聞く人に簡潔で分かりやすい内容でまとめる
・締めの言葉では、どうして今回の職種(会社)に関心をもったかを伝える
★回答例
「○○と申します。本日はよろしくお願いいたします。前職はXXXXにて営業職を3年経験してまいりました。既存顧客の維持・関係性の強化に取り組むとともに、新規顧客の開拓に積極的に取り組み、昨期には売上目標を150%達成することができました。その結果、全社内表彰においてMVPを獲得することができました。自身で定めた行動目標を達成し続けることで成果につなげてくることができたと思います。この経験を是非御社でも活かしていきたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。」
【志望動機を教えてください】
面接では必ず聞かれる質問の一つです。面接官はなぜこの会社でなければならないかという熱意をどのように伝えられるかをチェックしています。また、会社の理念や文化にフィットしているかどうかもこの質問から見極めようとしています。面接官を納得させるような説得力のある内容、話術が必要です。志望動機については「志望動機を考えるためのプロセス」が参考になるかと思いますので、是非ご一読ください。
★ポイント
・業界や職種への興味を伝える
・企業研究、業界研究をいかに熱心に行ってきたかを伝える
・なぜその会社を志望しているのか?本気度を伝える
・一緒に働きたいと思ってもらえるよう努める
★回答例
「御社を志望したのは、これまでの不動産会社でのカスタマーサービスの経験を活かし、不動産の営業として物件の提案をしていきたいと思ったからです。もともと住宅や内装に興味があり○○の資格をもっています。お客様にとって、マイホームは大きな夢です。お客様が希望する空間を、家そのものから内装、外装までご提案できるような、100%お客様の希望を実現できるような営業という仕事で、これまでの経験を活かし自分の力を発揮したいと思います。」
【今までに遭遇した最大の困難と、それをどう乗り越えたか教えてください】
どれほどの熱意があっても、能力や適性がなければ業務を遂行することはできないこともあります。この質問では目的や目標に対する意識の高さ、問題解決能力が見られています。簡潔かつ論理的に有効な戦略や解決策を提案する能力を感じとってもらえるようにしましょう。
★ポイント
・常に目的や目標に対する意識の高さを伝える
・客観的に多角的に物事を考えることができ、問題や原因の特定、課題を抽出できる
・有益な戦略や戦術を解決策として提案できる能力を伝える
・継続力や解決に向けて粘り強く取り組む姿勢、精神力をアピール
・他者を巻き込んでサポートを受けたり、連携を組み取り組める行動力やコミュニケーション力を伝える
★回答例
「私は目標が大きければ大きいほど、大きな困難が待ち受けていると考えています。これまで、そうした数々の困難に立ち向かい、克服してきました。例えば、1年前にクライアントから通常6カ月かかる大規模なE-commerceの立ち上げを3カ月で納品して欲しいと依頼がありました。社内に持ち帰りエンジニアに相談したところ、他にも大きなプロジェクトを抱えているため納期に間に合わせることができないと断られてしまいました。そこで自身の強みである語学力を生かし、オフショア開発を提案させていただきました。おかげで困難を乗り切ることができ、さらにはクライアントからの高い評価をいただくことができました。難問もすぐにあきらめてしまうのではなく、何かしら解決策があるはずですので、周りの方に協力を求めながらこれからも解決していきたいと思います」
・論理的に話せていますか?
「論理的に話す」というコミュニケーション力はビジネスのあらゆる場面で求められる重要なスキルです。「論理的に話す」とは、簡単に言うと、伝えたい内容を明確にし、筋道を立てて話すことを言います。面接の場面においても論理的に話すことができるかというコミュニケーション力が見られています。
「論理的に話す」には前回の記事で紹介しましたが、PREP法を用いるとよいでしょう。まずは最も伝えたい結論、要点を述べ、次に理由、そして理由を補足する事例や具体例をあげて補足します。また、Yes, Noの質問についてはまず最初にYesかNoの回答を述べるようにしましょう。
★ポイント
・5W1Hを意識する
・PREP法で筋道を立てて話す
・だらだらと話さず、簡潔かつストレートに話す
・「つまり」「結論として」「なぜなら」などの接続語を有効的に使う
・態度や癖に気をつけていますか?
面接時に面接官は、非言語でのコミュニケーションもしっかり見ています。まず、面接では相手の目を見て話すということは基本中の基本です。表情や話し方にも面接官は注目していますので、明るい笑顔や強弱をつけた話し方を意識するだけでぐっと印象はアップします。さらにはあいづちをうつことで理解をしている合図を送ったり、目線の配り方など細かな点まで注意してみてください。
いかがでしたでしょうか。今回は面接官がチェックする面接時でのコミュニケーション力についてお話ししました。就職・転職活動では面接だけでなく、応募のメール、訪問時の面接官以外との会話、面接後の礼状など、あらゆる場面であなたのコミュニケーション力がチェックされています。企業の方に是非一緒に働きたいと思ってもらえるようなコミュニケーションを常に心がけましょう。
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