ブラックスワン比較
こんにちは。皆さん、お元気ですか。
コーチング、企業研修、オンラインコース製作を提供しているWaterview Consulting Group Inc.の今泉江利子です。今回から記事を掲載させていただくことになりました。
コロナがまだ制圧できていない米国において、職場でもいろいろな新しいやり方が模索されている状況です。いずれの働き方、組織運営においても「長期的に利益を上げる強い企業になる」ことが企業の目的。ここでは「強い企業になる」ことを焦点に、働き方、人材育成、組織運営について考察し皆さんとシェアしていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
初回は「Covid-19」と過去の「ブラックスワン」との比較です。「ブラックスワン」とは「ほとんどあり得ない事象」を意味し、2007年にNassim Talebが著作した本の名前(日本語の訳名は「まぐれ」)から来ており、今回はJournal of Business Research “The Future of Business Education: A Commentary in the Shadow of the Covid-19 Pandemic” から引用した911、ハリケーンカトリーナなどの「ブラックスワン」と比較した表を下記に添付しました。 (参照)
ブラックスワン: 911
911が起こった時、私はロンドンでLondon Business SchoolのMBAコースの第2日目、Pre-Accountingのクラスの真っ最中でした。証券会社に勤める元夫から授業中に電話があり、耳を疑って何度も聞きなおしたことを覚えています。そこから7年前には、攻撃を受けたNYCのワールドトレードセンターのほとんど真下にあるアパートに住んでいたので、その頃の友人の安否を気遣いました。
また、そのアパートの中庭は、攻撃後、死体置き場として使われ、住民はすべて避難させられたとのこと。自分が昔住んでいた場所が、まさにグラウンドゼロになったということもあり、私のとって911の精神的なインパクトは甚大でした。その時はNYももう駄目だ、と思いましたが、私などの観測を見事に打ち破るNY市の住民、政府のタフさ。あとは皆さんがご存知の通りの復活です。
ブラックスワン: カトリーナ(ハリケーン)
カトリーナの被害は南部、特にルイジアナ州のニューオーリンズやミシシッピに被害が集中しました。NYの住民としてはカトリーナよりもサンディのほうが直下型で、実際ホーランドトンネルが完全に水没しました。それでも水はいつか引くもの、ビジネスにもほとんど長期的な影響がなかったことを覚えています。
ブラックスワン: COVID-19 「究極のスーパーブラックスワン」
そして今回のCovid-19。これは前述2つとは全く違う「究極のブラックスワン」。世界中の職場、学校、生活、すべてに影響が出て、すべての人が対応を迫られた100年に1度あるかないかのスーパーブラックスワンです。
マスクをする、手袋をする、学校にいけない子供の勉強を親が見る、自分も会社に行けない、テレビとネット以外のレクリエーションはすべて禁じられ、スポーツ観戦もコンサートも無理なら、旅行もできないし、飲み屋に行くことすらできない。
もちろん職場での変化もいやおうなし。リモートワークが課され、目の届かない社員や部下とどのようにコネクトし、管理するかの模索が世界中で行われました。
お客様の中には、この好機を逃すなと、一気にリモートワークのインフラに投資し、オフィスビルのリースをキャンセルしたところもある代わりに、新人の教育ができないから採用をストップする、と決めたところもあると聞きます。
こんな状態がすでに5か月。そしてまだトンネルの先に光が見えない。この不自由さと閉塞感が暴動や発砲事件につながっているのかもしれません。
その意味
皆さんもすでにいろいろな情報を得ていらっしゃる通り、今回のブラックスワンは将来に向かっての大きな変化の岐路だと言えます。
リモートワークが日常になり、ZoomやGotoMeetingの使い方を熟知していないとお客様からベンダー候補に入れてもらえないかもしれない、スタッフのモチベーションはどうする、評価はこれまでの、頑張ったかどうかより出た結果が重視されることになるのか、組織は本当にフラット化してしまうのか、実際に会わないまま採用、勤続してもらっていいのか、大体、お客さんに会わなくていいのか。営業の方法も変わるんじゃないだろうか。そしてあのコーヒーマシンの周りでの立ち話から生まれた様々なアイデアは、もう出なくなってしまうのか。会社の一体感はどこへ行く。その中でどんな会社が強い会社になっていくのか。
当然ながら、現在の変化のうち、どの部分が恒久的になり、どの部分が元に戻り、どの部分が両極を行き来するようになるかがこれから少しずつ明らかになっていきます。すでにこの5か月で変化についていけたと思っても、これからの変化はお客様により、取引先により、会社の進化により、そして生活環境の変化により、変動の余地がまだたくさんあるわけです。
ということは、ここで重要なことは、どんな変化が必要になってもその変化を受け入れる体制と文化、そして実際に変化をうまく使いこなそうとする積極性と柔軟性が重視されると言うことになるかもしれません。
文末に、コロナ状況下でも職場のみんなとつながるためのアイデア満載の“Creative Ways to Stay Connected While Working Remotely”のアニメを付けました。お時間のある方はこちらもどうぞ。
それでは、次回はCovid-19による職場での働き方の変化などについて話していきたいと思います。
※参照
“Creative Ways to Stay Connected While Working Remotely”
※この記事に関してご質問は、Waterview Consulting Group, Inc.まで、お気軽にお問い合わせください。
【執筆者】
今泉江利子
CEO
Waterview Consulting Group, Inc.
email: eriko@waterviewcoaching.com
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